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3日目
実際、紗倉樹の告白は驚くべきものだった。
聞いてみれば、例えこの話を言いふらしたとて、
誰も信じはしないだろう。
だから、言ってくれたのかもしれない。
「他人を信用するってのはな、実は難しいことなんだよ」とは、かつて騙され経験のある父親崇に
よる名言だ。
「ま、そのおかげで一念発起、編み出したのが
崇スペシャルなんだけどな」
秘伝はそのうち教えてやるさと、櫻子は父にも、
託されていたのだ。
それはそうと昨夜、紗倉は言った。
「実は僕、サクラマンなんだ!しっ、絶対に秘密だよ」
1日目に引き続き、再び紗倉は人差し指を立てた。
『大丈夫、頭が少々イカれてたって、蛙化
なんてしないよ紗倉先輩!』と、櫻子は
近づいてきた顔を指をうっとりと、見つめた後、
「サクラマンとは一体?」と、正気を呼び起こして
問うた。
「紗倉家は神代の昔から、この国の桜を守る役目を
担っているのだ」と、紗倉は急に、
押し出しの強いキャラに変換させてきた。
『まだ大丈夫、少々多重な人格ぐらいで蛙
化するような櫻子ではありませぬ』と心に秘め、
「それで?」と、話の先を急かしてみた。
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