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櫻子の家は、学校とも近い。
最寄り駅に出るまでの途中の商店街で、
老舗のお好み焼き屋を営んでいて、一人娘の彼女は、
最近では店の切り盛りも手伝っているのである。
賄いで夕食を済ませた後、外気を吸いにふと外に
出てみたら、目の前の街路樹の下に一匹の白い犬が
お座りしていた。
大きさは中型犬といった感じの、毛並みの豊かな、
顔立ちは日本犬である。
「どうしたの?キミ。ご主人を待ってんの?」と当然、
繋がれているものだと思って近づいたら、犬は
立ち上がると、待ってましたとばかり歩き出したのだ。
「えっ何?キミ1人なの?」
こういう場合、交番へ連れて行くべきであろう、
犬の進む先には確か交番があったよね?と、
小走りになりながら、着いて行った。
交番まで来たが、あいにくお巡りさんは不在だ。
犬は時折振り返り、
「こっちこっち」と櫻子にアイコンタクトを送ってくる。
「昔から、なぜか犬には好かれたっけ」と思いつつ、、
もう少しだけと、なおも小走りに跡をつけた。
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