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「あ、まぁ訳ありのバイトってとこかな?」
と、紗倉は答えながら、パールを撫で撫でした。
「シロ、お前どこに行ってたんだ?」
「俺、今はパールって呼ばれてる、このコに」と、
パールは、目を細めながら櫻子を見上げた。
全くもって思いがけない展開なのだが、櫻子は、
自分がお好み焼き店のユニフォームのままだったこと
に、気がついた。
さぞ香ばしい匂いを振り撒いていることだろう、
そんな照れ隠しも兼ねて、
「私もバイト中でして。うち、お好み焼き屋なんです」
と聞かれてもいないが、なんとか会話を続けようと
試みた。
彼女は興奮すると、お喋りになってしまう。
「てかさっきキミ、僕のこと、先輩と呼んだよね?」
「私、高等部1年の本郷櫻子という者でして」
「ああ、そうなんだ?そう固くならないでよ、タメ口
でいいよ」
「先輩ともあろうお方がアルバイトですか」
なんでも紗倉の家は、めっちゃ豪邸だという噂であった。
「僕もキミと同じ。家業の手伝いさ」
「え、そうなんだ、清掃会社なんですね、すご〜い」
お言葉に甘えて櫻子は少々、浮かれてみた。
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