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「ここの桜を全部咲かせるまでが僕の仕事さ」
「ほう、庭師でしたか」
「あはは、まぁね、桜専門のね」と、紗倉は笑った。
「本郷さんだっけ?キミ面白いね。
それに偉いよ、校内『お花見マラソン』上位
狙ってるんだ?」
「め、滅相も御座いません。走るの苦手でして」
「てか、ここまで走って来たんでしょ?な、シロ」
「だから俺は今、パールだって」と、
高速にお手を繰り出しながら、パールは答えた。
「あはは、パールね」
「櫻子くん、なかなか根性見せてましたよ。それに、
かわいそうな犬に知らん顔できない優しい女子だしね」
犬は助けるもんだよね。
今夜、得体の知れない日本スピッツ、パールに
そそのかされて着いてきて本当に良かったと、
櫻子が思った瞬間だった。
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