4人が本棚に入れています
本棚に追加
城の敷地内に入ると、本格的にランニングのペースに
なった。
心臓はドキドキするが、思いの外、しんどくない。
あっという間に、昨日の紗倉ゾーンに辿り着いた。
先輩、何処ですかーと足踏みしながら辺りを見回す。
「今日、俺ら来るのちょっと早かったかもね、紗倉
まだ此処まで来てないのかも、じゃあもうちょい先
まで走ってみる?」と、パールに促され、
「来てることは来てるんですよね?」と、そこは
念を押しながら再び、スピードを上げた。
プリプリと機嫌良さげなパールのお尻と尻尾を
頼りに、櫻子は走った。
気がついたら、なんと1周回って2周目に入っている
のであった。
紗倉先輩が、作業着姿で、そこに居た。
「せ、先輩、お好み焼きいかがですか。
冷めてもいけますよ、崇スペシャル」と、
櫻子は、首にかけていたタオルで汗を拭った。
涙袋のことはごしごしと拭った後に、しまったーと、
思い出したが、後の祭りだ。
「美味いね、さすがスペシャル」と、パールが言うと、
「マジ美味いね、ありがとう本郷さん。
崇さんにもそう伝えてね」と、紗倉はお好み焼きを
頬張った。
「先輩、口の端にソースが」と言いたいのを堪えて、
櫻子は、その光景を眺めていた。
最初のコメントを投稿しよう!