崩れていく…

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崩れていく…

『いってきまーす』 『いってらっしゃい』 毎日、当たり前の朝の言葉…帰ってきたら 『ただいまー』  『おかえりー』って いつもと同じそんな言葉が返ってくると思ってた。あの日までは… 「詩織ー早くしないと置いていくよ」 「待って、お姉ちゃん」 川原 詩織 21歳 念願の看護師として就職が決まった。10歳上の大好きな香織お姉ちゃんと同じ職業になれた。 頑張ったご褒美でお父さんとお母さんが家族旅行に連れてってくれることになった。 まぁ皆んな忙しいから国内なんだけどね。それでも久しぶりの旅行が嬉しかった。 「忘れ物ない?」 「多分…大丈夫」 「なに?その自信のなさは…いざとなったら国内なんだし買えるでしょ」 「それよりも早く行くよー」 玄関を出るとお母さんがお姉ちゃんの同級生の亘くんと喋ってた。 「亘くんおはよう」 「詩織、嬉しそうだな」 「うん…久しぶりの旅行だもん」 「卒業旅行は?」 「…ん?来週ね。今日は休み?」 「いやっ…夜勤だ」 「じゃあデートなんだ」 「違うよ」 「はいはい。いつまでも喋ってないで早く行くよー」 「行ってきまーす。亘くんお土産買ってくるねー」 神様は、私が幸せになるのは許さないんでしょうか? 『キキー』 『ガッシャーン』 遠くで私の名前を呼んでる声がする、誰の声か、わからないけど… 『大丈夫ですか?わかりますか?』 そう呼びかけられた。 目を開けて、声を出そうとしたが声が出ない。 ここは…病院?  「大丈夫?」 声が出ないので首を縦に振る 「大変だったね。」 お父さん、お母さん、お姉ちゃんは?そう思うのに声が出なくて言いたいことも言えない。 「何か言いたいことあれば…」 「書けるかな?」 そう言って看護師さんからノートとペンをもらった。 包帯をしていて震える手で、お父さんは?お母さんは?お姉ちゃんは?それだけを書いた。 その字を見た看護師さんが先生と目配せしていた…
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