セカンドスキン症候群 ~ フェティッシュ・ヴァリエーション:Case02

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 それからの私たちはいつもいっしょだったわ。一方で私の父は一人娘の私が離れていってしまうようで気が気じゃなかったみたいだけど。  そして大学二年生になったとき、彼が運転免許を取ったの。それは私にとってなによりうれしいことだったわ。だって実家住まいの私たちが二人きりになるために車は必須アイテムだったんだから。  でもね学生時代の私たちは二人ともバイトしてたんだけど、さすがに車を買うほどの収入ではなかったの。だからドライブのときはいつも彼のお父さまの車を借りてたわ。  その車がちょっと大きめのミニバン、七人乗りなんだけどそれに彼と私の二人だけなんだもの、だから彼なんていつも 「オレたちは空気を運んでるようなもんだよな」 なんて言ってたっけ。  そんな彼が大学を卒業して就職したその年の暮れ、あれは二回目のボーナスだったわね、彼は小さな車を買ったの。中古車だったけどきれいでかわいくて、それからは二人でいろんなところに行ったわ。  私にとってなによりうれしかったのは彼のお父さまのミニバンと違って二人の距離がとっても近かったこと。彼の左腕と私の右腕が触れるたび、もう何年もつき合ってるのにそれでもドキドキだったわ。  交際期間七年を経て、周囲の予想と期待の通り私たちは結婚しました。新居の賃貸マンションは駅からちょっと離れた住宅地にあったんだけど、ベランダから眺める空が広くて素敵な部屋、今から思うとあのころが幸せの絶頂期だったわね。
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