隠し事

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萌香は幼稚園から一緒だった。家が近く、学校に行くのも遊びに行くのも一緒だった。萌香は明るく、一緒にいる私に元気を与えてくれるような人だった。小学校でいじめられた時助けてくれたのも、落ち込んでるときに励ましてくれたのも全部萌香だった。親友とは萌香のことを表す言葉だった。 高校も同じ学校に進学した。中学とは違って一学年の人数が増え話すことは少なくなったが、一緒に話しながら帰るのは最高に楽しかった。高校でもいじめまがいのこともされたが、萌香と話していれば、すべて忘れられた。それなのに最近あんなことがあって・・・。 萌香が死んだと再認識すると涙が出てきそうだった。 「すみません!長々と話してしまって。こんな話をするつもりじゃなかったんですけども。」 「全然いいですよ。なんか聞く責任が僕にはあるような気がして。それにしても、すごいいい友達だったんですね。」 「ええ、すごいいい友人でした。」 冷たい風が吹く夕暮れ。二人とも遠くを眺めていた。 しばらく二人の間には静かな時が流れていた。
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