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 アキラくんとお泊りデートをすることになった。初めてのお泊りだった。ドキドキもしないはずもなく、少しの不安と大きな楽しみを持って、アキラくんの部屋の扉を開けた。アキラくんは大学生でアパートで一人暮らしをしている。  一口コンロの付いている狭いキッチンで豚の生姜焼きを一緒に作って、テレビを見ながら一緒に夕食を食べた。お風呂に入って、外デートとはまた違った楽しさがあり、穏やかな時間を過ごした。いよいよ寝るという時間になった。6畳ワンルームの部屋である。当然、一つのベッドで二人で寝ることになる。  私がそわそわしていると、アキラくんが「サトミちゃん」と私の名前を呼んだ。低く落ち着きのある声はどこか緊張感を帯びていて、いつもとは違う真剣な眼差しが向けられている。そっと肩に手が置かれ、アキラくんの顔が近づいてくる。あ、キスされるんだなと私は察して、目を閉じた。が、そこで事件は起こった。  静かな部屋に唸るようなお腹の音が鳴った。アキラくんの近づく気配が止まる。私は両手で顔を覆った。やらかした。なんでこんなときにお腹が鳴るんだろうか。せっかくのムードが台無しではないか。 「サトミちゃん?」 「ごめん、お腹空いちゃって……恥ずかしい」 「そうだよな~この時間になると、俺も結構小腹空くし。何か食べる?」 「え、いいの?」 「一緒に作ろう」  アキラくんはそう言うとキッチンの方へ行き、冷蔵庫の中を覗いて食材を取り出した。卵、カニカマ、刻まれてタッパーに入った小葱、冷凍うどん。「これチンして」と冷凍うどんを手渡され、私は電子レンジを開けた。 その間に、アキラくんは鍋でつゆを作っていた。鰹節の良い香りがした。 「もしかして、出汁取ってるの?」 「ううん。つゆの中にそのままパックの鰹節を入れたんだ。面倒くさくて、俺はいつもこの方法だけど美味しいと思うよ」 「へーそうなんだ。アキラくんはすごいね、料理もできて」 「そんなことないよ。一人暮らし始めてから料理作るようになったから、まだまだでさ」  彼の手際は良く、あっという間にうどんは完成した。  
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