優等生

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8月31日午後8時半。 少年は焦っていた。 夏休み最終日。 宿題が終わらない! あと1日、いやあと2日はないと終わらない。 その時少年は父親が死んだ時を思い出した。 2日は休める方法がある。 通夜と葬儀だ。 少年は母親が常用している怪しいクスリの隠し場所を知っていた。 大量のクスリを母親の飲みかけのお茶が入っているペットボトルに混入した。 母親がそれを飲むのを確認すると速やかにペットボトルを処理し、母親が動かなくなってから、119番通報した。 そういえば死に際母親が藻掻きながら涙ながらにこちらを目で訴えてきたなあ。 口をパクパクさせながら何かを伝えようとしていた。 なぜ? 言葉にならない声を母親は確かに発していた。 これが少年が聞いた母親の最期の言葉であり、最期の瞬間だった。 母親はその後すぐに力尽きた。 なぜ?って …あなたを消した理由ですか? 宿題が終わらないからです。
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