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「とりあえず一旦、落ち着こう。お茶持ってきたんだけど、飲む?」
おっと! なんて気配り男子。
私なんてその辺で買えばいいって思うのに、マイボトル持参。しかも予備の紙コップまで。
「え? 準備よすぎない?」
「そう? 坂井さんと会う約束してたから。実家から持ってきたお茶なんだけど、美味しいから坂井さんにも飲んで欲しいなって」
優しいなぁ。男子にこんな優しくされた事ないよ。
お茶を注ぐために少し伏し目がちになると、思ってたよりまつ毛が長いことに気がついた。
長谷川君は洗練されているわけじゃないけど、性格の良さがそのままビジュアルに出ている感じ。人当たり良さそうな雰囲気で、優しい空気感が彼を纏う。
つい見とれながら……気がついた。
彼女って、いるのかな?
もしそうだとしたら、彼女からしてみれば私ってウザい?
それに、もしいたら、略奪?
いやいや、そんな気は毛頭ない。
そうだよ。今ならまだ諦められる!
ハッキリさせるのが一番だ。
「長谷川君って、彼女、いるの?」
「────っ‼︎」
それまで優雅に注いでいた長谷川君のマイボトルから、動揺そのままに勢いよくコップへとお茶が流れ落ちた。
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