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「かわっ!……かわいいって言われても、喜べんし。そもそも坂井さんが変なこと言うからやざ?」
あ、開き直ったのか、方言出てきてる。
やっぱりかわいい。
もともと隠してた時も、なんとなく何処かの人だとは思ってたんだけど、砕けた話し方になると、よりアクセントが京都っぽい?
「変って?」
「……彼女、とか」
「それは…………実際のところ、どうなの?」
「言わんし!」
プイッと膨れたように顔を背ける。
真っ赤な顔がめちゃくちゃかわいい。男の子にこんなかわいいって思うのはじめてだ。
「そう? 彼女いたら二人っきりってよくないかなって思っただけだよ」
本当は知りたかっただけなんだけど。
「……おらん、よ」
よっしゃっ!
心の中で渾身のガッツポーズする。
まだ恥ずかしいみたいで手のひらで口元をおさえている。もう履修登録どころじゃないし、まずはこの持ち上げる事が不可能な『つるつるいっぱい』のお茶をなんとかしないとね。
「どうしようか? このお茶」
「も、俺、飲む」
言うが早いか、体を屈めて啜るように飲み始めた。
吸引力すごっ! なみなみだったお茶が、あっという間にコップの三分の二くらいまで下がった。
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