気になる彼が、かわいすぎます

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「なんか履修登録って難しくない?」  大学のラウンジでテーブル上に広げたのは、先程配られたシラバスや一年生向けの履修登録方法。  必修だの選択科目だの、一年で何単位とらなくちゃいけないだとか、高校ではやってこなかった事ばかり。 「頭こんがらがるーっ!」  思わず頭を抱えた私を見て、向かいの席に座った長谷川君の、堪えきれないと言わんばかりに遠慮がちな笑い声が聞こえた。 「ちょっと長谷川君、他人事じゃないんだよ。それともこの履修登録、長谷川君には簡単に組めるの?」  つい八つ当たり気味にシラバスをパチンと叩いて長谷川君に聞いてみる。 「うん、難しいね。でも、まずは優先順位を決めていこうか」  柔らかい笑顔で提案されたら、こちらの毒気も抜かれるというもの。  長谷川君とは入学式で偶々隣の席になった。  話してみれば同じ学科という事で、お互い知り合いもいなかったから、これは縁だ! と、すぐに連絡先を交換した。  とはいえ知り合いがいなかったからって、誰でもよかったわけじゃない。  サラサラな黒髪。私の話に優しく耳を傾けてくれて。ふわっと笑うと少し幼さを感じる瞳。素朴な話し方。  完全に私の一目惚れ。  その日は久々のトキメキに、周囲の訝しげな視線が気にならないくらい、浮かれステップで帰った。
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