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小人登場
白雪姫は幼い頃から癇癪持ちで、女王である母や家臣たちを振り回していた。『勉強なんてヤダ、ダンスの練習なんてヤダ』と泣き喚き、四つ下の弟のディルク王子に当たり散らし、挙げ句の果てに『全部ヤダ!』と八才で家出をした。
白雪姫がいなくなったあと、おそらく城の裏手にある森に行ったのだろうと騎士や狩人を総動員して捜索した。
白雪姫はその捜索網をかいくぐり森の奥深くにある小人たちの家にたどり着き、留守にしていた七人の小人たちの食料と家を乗っ取った。
小人たちは驚きもしたが(見た目は)可愛らしい姫の『私、いじわるな継母(実母)や使用人たちにいじめられているの(当然の叱責)』という(うその)言葉を不憫に思い、家を増築して面倒を見ることにした。
狩人から報告を受けた女王は魔法の鏡で白雪姫の無事を確認し、落ち着いたら帰ってくるであろうとしばらく様子を見ることにした。
しかし、いっこうに帰ってこない。
意外と小人たちとうまくいっているようで、城ではやることのなかった仕事、つまり洗濯や料理をしていたらしい。
しかし、実はまだ子どもの白雪姫を手伝うという建前で、ほぼ小人たちがやっていたのだ。
洗濯に関しては干すだけ、料理は盛り付けるだけで小人たちから褒められて満足し、家出生活を満喫していた。
全く帰る気配がないため、女王は美しい腰紐や櫛を手土産に迎えを送ったが、いちいち腰紐で首を絞められた、毒のついた櫛で刺されたなど小人たちに(うその)告げ口をした。
最後に綺麗なりんごを持って行ったが、運悪く喉に詰まらせ仮死状態になった。「美味しそう」と丸かじりしてよく噛まなかったのが原因だ。
小人たちは大いに嘆き、ガラスの棺桶を作り白雪姫を横たわらせた。
ちなみに、白雪姫が死んだと思い込み嘆き悲しんだ小人たちはそのことを城に報告するのを忘れており、女王は後に鏡から知らせを受けることになる。
しかしそれはヘッセン王子が白雪姫を連れ去った後だった。
そう、女王が多忙を極め鏡から知らせを受ける前に、そこに現れた変態ロリコン……もといヘッセン王子が現れたのだ。
そして小人たちがドン引きする中ヘッセン王子が口づけをすると、白雪姫の喉につかえていたりんごが取れて息を吹き返すという、よくわからない現象が起きたのだった。
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