幸せの選択

3/9
前へ
/9ページ
次へ
一年後、彼は商社に就職した。学生の頃から一般企業に就職するつもりだったのだ。 「絵では食っていけないからね」 「絵を描くのは、あくまでも趣味だから。これからも絵は描いていくけれど、日曜画家ってのになるのかな?」 そう言って照れ笑いをしていた。 大阪勤務になった彼とは、お互いが東京と大阪を行ったり来たりして月に2回ほど会っていた。 「交通費がかさむから贅沢できないね」 「ずっと一緒にいたいなあ」なんて言っていたのだが、2年後に彼はニューヨーク支店に転勤になった。 「待っていてくれよ」そう言い残して彼は旅立っていった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加