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 翌日、紅華(べにか)は意気揚々と教室に向かった。紗良(さら)万里子(まりこ)が談笑しているのが見えた。 「おはよう。紗良ちゃん、万里ちゃん」 「アッキーおはよう」 「おはよう、アッキー。昨日はごめんね、とことん落ち込んじゃってたから……」  紗良が、紅華の腕をとる。 「私より、紗良ちゃんこそ大丈夫? 落ち着きましたか」  紗良の(てのひら)に自分の掌を乗せる紅華。 「うん。何とかね。落ち込んでる暇なんてないよね」  ほほ笑む紗良を見て、紅華が目を細めて話題を変える。 「それより、私、占いを勉強してるの。紗良ちゃんのこれからを占わせてもらっていいですか?」 「え、私のこれから……。進路のことも分かるの?」 「分かります。何でも分かる占いです」 「すごいじゃん。紗良ちゃん占ってもらいなよ。でも、それって変な結果はでないよね?」 「もちろんですわ。常に前向きな答えが得られる占いです。それに……」 「それに何?」 「お望みなら……心休まる方法もお教えします」 「いやあ、いいじゃん。今ここではできないの?」  万里子は、自分を占ってもらいたい。 「カードの準備やら、雰囲気作りなど、しなければならばいので、今ここではできません。明日は、土曜日でお休みだから、紗良さんの家にお伺いしてもいいですか?」  穏やかだが、圧力のある紅華の言葉だ。 「うん。いいよ。じゃあ、明日、午後3時頃でいいかな?」  何となく不安感を感じつつも、嫌と言えない紗良だった。 「いいですわ。明日午後3時、紗良ちゃんのお家で」 「ああ、いいなあ、今度私も占ってよね」  万里子は、無邪気だ。 「いいですよ。今度、また占わせてもらいますわ」  紗良は、一瞬紅華が薄笑(うすわら)いを浮かべたように見えた。
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