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「さて、では占いを始めましょうか」  紅華(べにか)は、オラクルカードを手に取り、電気式アロマポットのスイッチを入れた。穏やかなラベンダーの香りが漂い始める。  ベルベットの占いマットを敷いたローテーブルを挟んで、絨毯(じゅうたん)上に対面に座る。  紅華は、カードを裏にしてマット上に広げる。 「今からやるのは、天界(てんかい)占いというオラクルカードを使った占いです。まず私と、このカードを時計回りに混ぜます」  紅華と紗良(さら)が両手で時計回りにカードをかき混ぜる。 「次は、カードを(たば)ねるね」  裏にしたカードを束ねて山にする紅華。そして円を描くようにカードを扇状に広げる。 「では、この山から一枚だけ引いてください。そのカードが紗良ちゃんの『(かか)えている問題』『望むこと』『望みをかなえるための行動』の全てを示してくれます」  紗良は、迷わずに真ん中のカードを引いた。 「裏返してください」
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