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ギルドの登録を抹消します
書かれている意味がわからなかった。今朝、俺が所属するギルドから届いた書状は何度読み返しても納得できる内容じゃあない。ぐしゃりとつぶしたそれを持ち、向かったのはもちろんギルドの受付だ。
「おいユリア! これどういうことだよ!」
「はあ? 何が」
「何で俺のギルド登録が抹消されんだよ! おかしいだろっ!」
バンッと大きな音をわざと立ててカウンターに書状を叩きつけた。王都からはるか西、近くには精霊の森があるこのギルドはいつも静かだ。それでも普段から数名の冒険者がいるのはほとんどが初心者で比較的安全な精霊の森での採取や小型魔物の討伐の依頼を受けているからだろう。そんな彼らが俺たちの様子を窺っているようだ。微かな視線を感じる。
「おかしいも何も、あんたいっつもここの依頼はつまらない。もっと手応えのある依頼がやりたいとか騒いでたじゃない」
「そ……それは」
「これを気にうちを辞めて他のギルドに移ればぁ? あ、南の砂漠のギルドが人員不足って聞いたことあるわ。そっちへ移ればいいんじゃない?」
受付嬢であるユリアも新規の依頼がないようで、暢気に爪の手入れなどしている。
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