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それでもコツコツと貯めていた金は当面の生活には困らないくらいには貯まっている。旅に出るいい機会なのかもしれない。そう、自分を納得させて帰ろうとした時「あ、そうだ」とユリアに呼び止められた。
「この前の依頼でさ、あんた森からいくつか武器持って帰って来たでしょ?」
「ああ」
「ガラクタばっかりだから持って帰れってギルドマスターが言ってた。まあ最後の餞にあんたもいらない武器だっつーならこっちで処分するけど」
「……わかったよ」
「裏の倉庫にあるから」
ギルドの倉庫はカウンターの奥の方だ。最初に言えよと思いつつ引き返した。
倉庫は薄暗くて木箱やらよくわからん袋が置いてある。俺がこの前持ち帰った武器は入口近くにまとめて置かれていた。
「だいたいあそこで手に入るのって初心者向けの武器なんだよなぁ……ん?」
木製の弓にやや錆びた槍、斧なんかも持って帰ってたっけ。と漁っていたら自分の手にしっくりくる古びた片手剣を見付けた。どこで拾ったんだっけと先日の依頼を思い返す。
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