親友の自叙伝

3/7
前へ
/7ページ
次へ
 にわかに信じられるものじゃないのだが、私の言葉に反応して文章が現れている事が否定を許してくれなかった。 「なんでそんな姿に?」 「まあ、いろいろやってみた結果かな」 「自叙伝になるっていうから、てっきり本になるかと」 「まだ若いんだもん。人生を完結なんてさせられないわ。こうして、いつでも更新できるようにしておかないと」 「そもそも、なんで自叙伝になりたかったの?」 「誰も伝記を書いてくれなさそうだから」  分かったような分からんような。  だが、こうして私の親友は自叙伝になった。意味が分からない、と思うだろう。私だって意味は分かっていないんだからどうしようもない。  彼氏の雄介にも話してみたけど、何言ってんだという顔をされただけだった。だよね。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加