親友の自叙伝

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 二日後ぐらいだろうか、家に戻ると雄介が私のパソコンを開いてキーボードをたたいていた。  こっそり近寄って覗き込んでみると、投稿サイトに入れなくて困っていた。 「何してんの?」 「うわっ……」  体を思い切りびくつかせながらも、しっかり画面を閉じることは忘れない。 「なんで小説サイト入ろうとしてたの?」 「いや、それは……」 「パソコン使っていいとは言ったけど、小説読んでいいとは言ってないけど」 「どんなの書いてるか興味があってさ」 「今までそんなこと一回も言ったことないのに?」 「あ、いや……」 「文香? 文香読んでる?」  無言。  自白と一緒だ。 「なんでこそこそ読むの?」 「いや、それは……なんつーか……」 「まさか、浮気?」 「な、何言ってんだよ。相手は自叙伝だぞ? どうやって浮気するんだよ」  この態度だけで黒確定みたいなものだが、雄介の言う事にも一理ある。  自叙伝との浮気って何だ。
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