娘の気持ち

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娘の気持ち

「そうか! こうすればいいのね!」  ママのスマホでけんさくをして現れたかんれんどうがを見て、思わず声がもれた。ここのところずっと考えていたことのこたえが、やっとみつかったから。  6月。今から3ヵ月前。赤ちゃんがおうちに誤はいそうされた。誤はいそうって思ったのは、前にママが弟か妹の赤ちゃんがいたらうれしい? って聞いたとき、私は赤ちゃんいらない、ってへんじをしたから。だって、その少しまえに、さやちゃんのおうちに遊びに行ったときに見た赤ちゃんは、よだれと食べもので顔と手がべたべたがびがびだったから。  さやちゃんは、すみちゃん(赤ちゃんのなまえだって)かわいい、食べちゃいたい、ってほおずりしていたけど、それを見てわたしは、うっわあ、きたない! きもちわるいって思ったの。…もちろん、口には出さなかったけれどね。  だからいらないって言ったのに、それなのにおうちにやって来た赤ちゃんは、やっぱりきたなくて、ママがくたくたになっておせわしても、泣いてばかりでいやになるくらいにうるさい。ぜったい誤はいそうだと思うのに、なぜかママはへんぴんしない。いそがしすぎて、へんぴんできないのかな? 私がかわりにやればいい? どうやればいいのかな?  そんなふうに、ずっとなやんでいたの。  こたえがみつかったのはね、ママのスマホで、「赤ちゃん いらない」っておんせい入りょくしたの。そしたら、くちべらしって出てきて、何のことかわからなかったけれど、むかし、びんぼうで赤ちゃんが育てられなかったときには、ぬらした紙で赤ちゃんの口とはなをふさいだことがわかった。  やりかたは、わかった。でもこまったことが、もう1つ。それは、やってはいけないことってなっていたこと。やってはいけない、でも、それしかほうほうがない。かんがえにかんがえて、そして思った。わざとじゃないなら、いいんじゃないの?  お皿あらいのおてつだいをしていて割っちゃったとき、ママは言った、いいのよ、わざとじゃないんだから。  だからね、幼稚園から帰ってきて、ママがねちゃって(赤ちゃんのせいでずうっと疲れている、かわいそうなママ!)、雨がふってきてほしてあったせんたくものをぬらしはじめたとき、いまだ! って思ったの。いつもはベビーベッドにいる赤ちゃんが、床にしいたお布団にねていたのも、つごうがよかった。そんなぐうぜんが重なって、そうして私はぶじ、赤ちゃんをお空にへんぴんしたの。
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