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妻の独白
妊娠がわかって、医者から予定日を聞かされたとき、私の心臓は跳ね上がった。この子は誰の子? 夫の子? それとも…?
それは恐ろしい考えだった。もしも彼の子だったら、私は私生活でも仕事でも、居場所を失うことになるだろう。
結論から言うと、胎内にいるこの子は、夫との間に授かったのではなかった。
私は頭を抱えた。どうすればいい?
そして私は、計画を立てた。事故を起こせば、ううん、起こさせればいい—。
計画は、こんな感じ。
<実行前日以前>
・娘のお手伝いを、これでもかとばかりに過剰なほどに褒める
・娘に、赤ちゃんへの嫌悪感を植え付ける
・赤ちゃんの兄弟が欲しいか確認して、否の答えを得る
・娘がスマホで検索できるよう、必要なヒントを与えておく
<当日>
・雨が降りそうな午後、ベビーベッドにミルクを零しておく
・洗濯物を娘の手の届く高さに外干しして、幼稚園に娘を迎えに行く
・帰宅したら、赤ちゃんを床に寝かせて、転寝をする
…娘は、実によい働きをしてくれた。誰もが、例のできごとを、不幸な偶然の重なった事故と疑わない。
これでまた、私たち家族は安泰になった。
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