空に祈り

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 私がふと窓の外を見ると、一本の大木から緑の葉が一枚ずつひらひらと舞い降りていくのが見えた。その中を一匹の蝶々が嬉しそうにひらひらと飛んでいく姿に気づくと、いつの間にか私は目でそれを追いかけていた。 「桜が散ると、春が終わった気がするよね」  理佐ちゃんが優しい声で呟き、私は横に目をやる。 「五月半ばだから、春はもう少し続くけどね?」 「最近暖かいから、どこかへ出かけたいなぁ……」 「理佐ちゃんは今週の土日、予定あるの?」 「うん。おばあちゃんの家へ行く」  私はウンウンと頷き、小さく口を開く。 「楽しめるといいね」 「え?」 「おばあちゃん家、行けるといいね」  理佐ちゃんは目をぱちぱちさせて少し考え、私を見た。 「いや、行くんだって! 話聞いてた?」  くすくすと理佐ちゃんが笑い、私も微笑む。 「そうだった、ごめんね?」 「やっぱり、今日のあずみちゃん変だよ?」 「……少し眠たいから、寝ぼけてるのかもね」  そう理佐ちゃんに嘘をついて、私は手を伸ばす。 「理佐ちゃん」 「ん?」 「頭に……糸屑がついてるよ?」
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