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転校生の橋渡くん
「転校生が来てる」
突然聞いた。担任が言った言葉に耳を疑う。
いや、そういうのって普通前日とか前に言うだろ。直前には言わないだろ。とかより、この普通でつまらない日常に、人ひとりくわわることのワクワク感。
どんな人なんだろうか。女の子がいいな。担任が連れて来る数秒を、窓際の後ろの席で、じっと待った。
「はじめまして。橋渡渉って言います」
転校生は男だった。
半分ワクワク感が消えた。
あからさまに、窓の外を眺める。しかも、普通に顔がいいっていうのがまたムカつく。橋渡渉。橋どんだけ渡るんだよ。
大袈裟な拍手が教室内で響いて、担任がそいつの席を指定した。
「じゃあ、後ろの……山中の席の隣が空いてるから、そこが橋渡の席だ」
担任を初めて恨んだ。
こんな突然来た転校生くんを俺の隣の席にするとか、多分担任は俺のことが嫌いなんだろう。(勝手な妄想です)
俺がいろいろ教えてやらないといけなくなる。そして隣なら必ず……。
「山中くん……かな、よろしくね」
こうなる。「うん、よろしく!」としか言いようがない。確かに転校生に学校を案内するとか、そういうことをしていたら、確かに退屈していた毎日より少しはいい感じかもしれない。だが、俺はこいつがちょっと嫌いだ。女の子かと思ったら男だったりとか、顔がいいこととかで嫌いになったわけじゃない。いやそれもあるけど。
こいつの、目になんとなくひるんでしまうから。
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