転校生の橋渡くん

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「まだ教科書が届かないんだ。見せてくれる?」 優しいような笑顔で、俺の机に自分の机をくっつけてきた。やめろあほ!って言いたいけど、「うん!いいよ!」って思いっきり作り笑いで答えた。多分相手には「こいつめっちゃ作り笑いやん」と思われているだろうが、それでいい。なんかあんまりいい人ではない、と相手に思わせることで自然と関わりははじめだけになる。それでいいのだ。なぜなら俺はこいつが苦手だから。 「君、国語得意なの?」 いきなり話しかけられてびっくりした。 俺の教科書をまじまじと見ながら、そう尋ねられた。 「うん、なんでわかったの?」 「教科書に線とかメモが何気なくされてあるから、そうかなと思ったんだ」 ニコッと笑いかけてくる。めっちゃ観察眼鋭いんだろうな。普通に俺の教科書観察して楽しいわけ無いけど。 「すごいね、観察力」 「そうでもないよ」 そう言うと、スッと授業に戻った。 周りがこいつに注目しているのがわかる。こいつはイケメンだからだ。肌もきれいで鼻も高い。まつげも長く、髪は整っていて少し色が明るい。そしてなにより笑顔を作る。休み時間はこいつは引っ張りだこだろう。俺以外の誰かが案内を立候補しそうだ。マジでよかった。
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