転校生の橋渡くん

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授業も終わり、昼休憩に入った。 各自好きなところで弁当を開く。今日は偶然、いつもつるんでいる人が別に行ったため、誰かを誘うのも面倒で、自分の机で一人で食べることにした。 一人というのも全然良くて、音楽を聞いたり動画を見ながら食事が取れる。と言っても一人で食事は、なかなか久しぶりだ。 「一緒にいいかな」 橋渡だ。まじでかよ。何で俺のとこくるんだよ。 「え…っと、さっきまで囲まれてなかった?」 「切り抜けてきたよ。君と食べたくて」 意味がわからない。そりゃ転校してきてはじめに話せて安心する事はあるだろう。そしてその先も何となくその人と一緒に居て。だが特に、相手に「友だちになりたい」と思わせるような対応は一切なかったはずだ。 「な、何で俺なの」 「ふふ、君が嫌なのは知っているよ」  …………………は? 聞き間違いか?なんて言ったこいつ今。 俺が、こいつを嫌がっていることを知っている……? 「は…何を………」 「作り笑いしなくていいよ。僕は君のその顔、好きだけどね」 生きてきた中で、1番理解ができない。 俺がこいつを嫌がっていることを、こいつは知ってる。 そして、俺のその嫌だけど無理やし作る笑顔が、好き。 まじでは?としか言いようがない。 「これからもよろしくね。みのりくん」 そして俺のだいっきらいな下の名前で呼んできた。 本当にこいつのことを好きになれる未来が見えない。
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