転校生の橋渡くん

1/3

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ

転校生の橋渡くん

「転校生が来てる」 突然聞いた。担任が言った言葉に耳を疑う。 いや、そういうのって普通前日とか前に言うだろ。直前には言わないだろ。とかより、この普通でつまらない日常に、人ひとりくわわることのワクワク感。 どんな人なんだろうか。女の子がいいな。担任が連れて来る数秒を、窓際の後ろの席で、じっと待った。 「はじめまして。橋渡渉って言います」 転校生は男だった。 半分ワクワク感が消えた。 あからさまに、窓の外を眺める。しかも、普通に顔がいいっていうのがまたムカつく。橋渡渉。橋どんだけ渡るんだよ。 大袈裟な拍手が教室内で響いて、担任がそいつの席を指定した。 「じゃあ、後ろの……山中の席の隣が空いてるから、そこが橋渡の席だ」 担任を初めて恨んだ。 こんな突然来た転校生くんを俺の隣の席にするとか、多分担任は俺のことが嫌いなんだろう。(勝手な妄想です) 俺がいろいろ教えてやらないといけなくなる。そして隣なら必ず……。 「山中くん……かな、よろしくね」 こうなる。「うん、よろしく!」としか言いようがない。確かに転校生に学校を案内するとか、そういうことをしていたら、確かに退屈していた毎日より少しはいい感じかもしれない。だが、俺はこいつがちょっと嫌いだ。女の子かと思ったら男だったりとか、顔がいいこととかで嫌いになったわけじゃない。いやそれもあるけど。 こいつの、目になんとなくひるんでしまうから。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加