【悲報】パッパ……

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【悲報】パッパ……

ちょい仲良くなった王都学園のアリス先生と話しておりまんねん。 アリス先生は王族で若くて美人の体育教師でスタイルもええんやで。 前世のキモオタデブのワイなら恐れ多くて近づくこともできんようなネキさんや。 ちな、ネキさん=姉貴さん、やで。 「それよりエリザベート」 「はい」 「耳が聞こえないのは嘘だろ」 「え?」 「耳が聞こえないくらい、公爵家のお姫様ならな、くそ高いポーションかくそ高い治癒魔法で治してもらえるはずだ。それに、会話が自然すぎる」 それはそうやな。 「……すみません、よく聞こえます」 「体育委員の推薦を耳が悪いのでと断ったらしいな」 「はい」 「そのような嘘は減点対象だ」 「そんな」 「まあ、理由くらい聞いてやる」 「理由、言ったら誰にも言いませんか?」 「その理由による。理由によっては学園に報告する」 「あの、実は私の心は男なんです」 「そうか」 「信じるんですか?」 「私も同じだ」 「えっ?」 「私も心では男だと思っている」 「ふあっ? 先生もでっか?」 「でっか?」 「あ、先生も私と同じなんですか」 「まあな」 もしかして先生も日本からの転生者で前世は男とか? 「で、心が男なのと耳が聞こえないふりをする関連は」 関連ね。 「要するに、私が見た目は美少女だからですかね」 「そうか。なら、減点はなしにしてやるし誰にも言わない」 「ありがとうございます」 助かったやで。 しっかし、アリス先生も可愛い名前なのに心は男さんなんか。 スタイルいいし、美人さんやし、男にモテモテやろうに。 「他の教師に聞かれたら『どんなポーションでも治癒魔法でも治りません』ってことにしとけよ」 「あ、分かりました」 アリス先生、ええ先生やな。 ワイが男やったらプロポーズしとるわ。 「先生も女が好きですか」 「安心しろ、生徒には手を出さない」 「はあ」 先生になら手を出してもらってもええかもと思ったんやけど。 まあ、あんまりエリザベートの身体をワイが好きにしたらあかんわな。 しかし、ダンジョンの冒険者か。 パッパ、許可してくれるやろか。 パッパにお願いしたで。 「お父様、私はアルバイトで冒険者をやりたいのですが許可をもらえないでしょうか」 「ふむ。いつもトレーニングをしていたのは冒険者になりたかったからか」 「まあ、はい」 そうではないやけど。 「いいぞ」 「そこをなんとか……え?」 「許可してやる」 「いいのですか?」 ええんか? 「簡単に死ぬような危険なダンジョンに未成年者は入れないし、危険があればお前は瞬間移動で逃げれるからな」 「なるほど」 「ダンジョン収益の3割でいいぞ」 「はい?」 「私は自由に使える金が少ない。分かるだろ」 「許可をする見返りですか」 「まあな」 アルバイトする子供から収益の3割も取り上げるって、あんたは鬼か。 まあ、背に腹は代えられンゴ。 「分かりました。それでお願いします」 「うむ」 マッマにチクってやるか。 マッマに内緒でってわけにもね。 「お母様、お父様がかくかくしかじかなんですが」 「エリザベートがそれでいいなら、私はいいわよ」 「ええんでっか?」 「でっか?」 「あ、よろしいのですか?」 「いいわよ」 「はあ」 ええんか。 まあ、パッパとマッマがええならええけど。 いろいろ調べたり聞いたりしたところ、冒険者になるには冒険者ギルドに登録するらしい。 まあ、そらそうやろ。 パッパに書いてもらった同意書を持って冒険者ギルドへ行くで。 「1人で行ってもよろしいのですか?」 と、パッパに聞いたら 「みんな忙しい。それに、お前が誘拐されるとか想像できん。変なことをされても相手は殺さずに瞬間移動で戻ってこいよ」 だと。 ワイ、これでも12歳の美少女やで。 もちっと心配してくれんか。 まあ、ええけど。 変態とかおったら股間蹴り上げて瞬間移動で戻ってくるで。 王都の犯罪率とか治安状態とか知らんけど、子供の誘拐とかよく起こるんやろか。 で、特にこれといった事件事故にもあわず冒険者ギルドに到着したで。 冒険者ギルドの中はあんがい人がおらんかった。 昼間やから冒険者はダンジョン攻略しとるんやろな。 受付けらしきとこに。 「すみません、アルバイト冒険者登録したいんですけど」 「はい、保護者の同意書とかお願いします」 「はい」 パッパの同意書を読む受付嬢。 「ええっ!?」 ビックリした顔でワイを見る受付嬢。 なんやねん。 「あ、あの、公爵家の」 「はい、公爵の孫娘です」 「あ、あの、ギルドマスターの所へご案内」 「あ、そんなのはいいです」 「え?」 「平民庶民と同じ対応をお願いします」 「し、しかし」 しかしもカカシもないやで。 「お祖父様の命令で平民庶民と同じ体験をしろと言われております」 「そのような御命令を」 「はい」 「平民の子供と同じような対応をして、本当に怒りませんか?」 「しつこいやで」 「ひえっ! すっ、すみません!」 受付嬢が見えんなった。   カウンターの向こうで土下座でもしとるんか? 「受付けのお姉さん、早く登録してくれないと対応が悪かったとお祖父様に報告しないといけないのですが」 「はっ、はい! すぐにやりますでふ!」 そんなに慌てんでもええけど。 慌てるとミスするンゴよ。
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