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毎日が何もない平凡な生活。
朝起きて、仕事に行って帰ってきて、そして寝てまた起きる。
毎日それの繰り返し。
だけどオレは、そんな毎日が気に入っている。
小さい時からそうだった。
高みなんて望まない。
いまあることだけに満足して、身の丈にあった生活をしている。だから今まで生きてきて、悔しいこともなければ辛いこともなかった。
まあ、全くなかった訳では無いけれど、そういう時は大抵、『仕方がない』と思ってはその状況を受け入れてきた。
オレはこの『仕方がない』という言葉が好きだ。一見諦めたように見えて、けれどどんなに辛い状況でもそれを受け入れ、立ち向かう強さを感じる。ただ諦めるだけじゃないその強さが、オレには美しく思えるのだ。
だからオレは、どんなに辛くて逃げ出したくなっても、この言葉を口にしてきた。
『仕方がない』
そう声に出すことによってその現実を受け入れ、オレは頑張ってきた。その甲斐あってか、いまは胸が苦しくなるような辛いことも嫌なこともない。ただ穏やかに過ぎていく時間の流れに、オレは逆らわず身を任せている。
そんな時間が心地よい。
何も無い平凡な毎日が、オレは好きだ。
今日もいつものように会社に行って、そして帰ってきた。珍しく残業もなく定時に上がれたので、それだけで気持ちが上がる。しかも金曜日だ。心置きなく、タガが外せる。
だからこれじゃあ満足しない。
オレは身を起こしてオレの中から出ようとしている彼の背に足を絡めた。
「もっと・・・しよ?」
既に二度している。
中に出してもらったものが溢れ出ている入口は、彼のものを容易に逃がしてしまう。けれどそんなことはさせない。オレはお腹に力を入れて、キュッと締め付けた。
本当はゴムをしなければいけないだろう。でもオレは、そのままするのが好き。直に感じるその熱と、中に出される精がお腹いっぱいに満ちる感覚が好きなのだ。
「まだお腹・・・足りない」
もっともっとお腹をいっぱいにして。
オレは中を締め付けながら腰を上げてそれを奥へと導く。すると中のものがぐんと大きくなって、彼がオレの腰を引き寄せた。
「あ・・・っ」
奥を突かれ、その快感が身体に走る。その感覚に震えるオレの身体を持ち上げると、彼はオレをくるりと回転させた。
「途中でバテるなよ」
うつ伏せになったオレにぐぐっと腰を落として身体を密着させると、彼はオレの耳に囁いた。その低く掠れた声に、オレの身体にさらに力が入る。
「あっ」
そのまま身体を密着させて腰を激しく動かし、彼はオレの耳を噛む。するとその甘美な痛みが中を激しく突かれる快感と重なり、オレの頭は弾け飛ぶ。
もう何も考えられない。
ひたすら与えられる快感に身を任せ、オレは何度も高みへ押し上げられる。
どれだけ極めたのかも分からない。
奥を突かれ前立腺を擦られて、オレはただただあられもない声を上げてイカされる。
時間の感覚もない。
どれだけしていたのか。
気を失っていたのか、起きていたのかも分からない。そしてそんなぼんやりした頭で、オレは天井を見ている。いつの間にか行為も終わり、オレはひとりベッドに転がっていた。
こんな時間も好き。
疲れきった身体が休息を求め、今にも瞼が落ちそうだ。
「寝ててもいいよ」
そんなオレにそう言うと、事後下着も付けないまま戻ってきた彼はオレをシーツごと抱き上げた。
少し動いただけでも溢れ出てくるそれに、オレの身体が僅かに震えるけれど、それすらもどうでもいいくらい眠い。だからオレは、そのまま彼に身を任せた。
お姫様抱っこのように抱えられ、オレはバスルームへと運ばれる。そしてそのままシーツを取ると、抱っこされたまま湯船に浸かる。
気持ちいい。
事後のお風呂も好き。
満たされて疲れきった身体が、心地よいお湯の中で弛緩するこの感覚。しかも後ろから包み込まれるように抱きしめられると、ものすごく安心する。
「理人・・・キスして・・・」
ぼんやりした意識の中でそう呟くと、彼・・・理人はオレの顎に手をかけると後ろを向かせて唇を重ねる。
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