それだけの関係

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今この手を振り払われたら、もう追いかけられない。そう思ったけれど理人はそのまま動かなかった。だからオレは手を離して言った。 「縛ってもいいよ」 その言葉に理人の身体がビクッと震える。 理人はきっと、無意識にオレに力を使ったのだろう。普段優しい理人はこの4年、一度も力を使ったことがなかったから。でもそんな理人が無意識に使ったのは、それだけオレを思ってくれているからだ。それが凄く嬉しい。 「理人に縛られるの嬉しい。それに身体もなんか変になる。ゾクゾクしてゾワゾワして、お腹の奥が熱くなる」 さっきあんなにしたのに、また身体が疼き出す。 「きっとオレを縛るのが理人だからだ。理人だから変になる」 そう言ってオレは布団を捲った。すると何も着ていないオレの身体が晒される。 「もう一度だけしよう。オレが理人を好きだって分かりながら抱かれたい。ちゃんと思いを通わせながら繋がりたい」 そんなオレを見下ろす理人の目が見開かれる。 「聞こえた?オレ、やっと分かったんだ。理人が好きだって・・・」 一方的な思いでもなく、無自覚でもなく、ちゃんと好き合った心でしたい。 「オレを理人のものだって縛って、そしてそのまま身体もひとつにして・・・」 そう言った瞬間、心がぎゅっと縛られる。そして身体も理人に強く抱き込められ、力の入らない身体を折り曲げられて挿入ってきた理人にオレはあっという間に上り詰めてしまう。そして奥深くを抉らるように突かれるとそれだけでイってしまった。けれど互いの腹の間で屹立しているオレのものからは何も出ない。そのまま震え、オレは極まったまま戻れずまたイカされる。 理人の力で心を縛られ身体を激しく揺さぶられると、口からは絶え間なく嬌声が漏れて頭が真っ白になる。それでもわずかに残った理性が言わなければとオレを急かす。 「あっ・・・あぁ・・・り・・・ひと・・・ぅんっ・・・す・・・きっ・・・」 その瞬間理人はその腰は止め、ぎゅんと束縛力を強める。 「愛してる。由依」 そう言うと理人は、再び腰を動かし始めた。 「あぁっ」 もう一度だけって言ったのにっ・・・。 さっきよりも激しくなる動きに、オレの意識はプツリと途切れた。 こんなに激しいのも、あんなに強烈な快感も初めてだった。そう思っていたけど、理人に言わせると発情期はいつもああらしい。 え? マジで? 毎回あんななの? にわかに信じられない(信じたくない)我が身の痴態。それにその前にあんなにしたのにまだたくさんオレの中に出した上に、ケロッとオレの世話をしている理人の体力は何なのか。だってあれだけしたんだよ?なのに何でこんなに平然としているの? だけど理人の話では、発情期はいつもこうらしい。つまり3ヶ月に1度、あれを5日連続でしているのだ。そりゃ体力だってついて、へばるはずがない。 在宅ワークの上にこれといって運動をしてる訳でもないのに、なんであんなにいい身体をしてるのかと思ったらそういう事か。発情期以外でも一日おきくらいにしてるし、それだけでも結構な運動なんだろうなとは思っていたけど、さらにあんな激務をこなしていたとは・・・。そりゃ筋肉も付くわな。 オレも同じメニューをこなしているはずだけど、するのとされるのとは大違いだ。オレはただ揺さぶられてるだけだけど、そのために理人は絶えず腰を振ってる訳で・・・て、オレは何を考えてるんだか。とにかく理人の身体の筋肉の謎は解けたと言うことで、オレは改めて自分の痴態が恥ずかしい。もう恥ずかしくて恥ずかしくて布団に潜っているというのに、その布団を理人があっさり取ってしまう。 「そんなに恥ずかしがったって、今更でしょ?つい先週もそうだったし、発情期の度にそうなんだから」 そう言ってオレをシーツごと抱え上げる。バスルームに行くためだ。 「それにドライでイってる由依はものすごく可愛いいのに、終わるといつも忘れちゃうから残念だったけど、今回はちゃんと覚えてて嬉しい。恥ずかしがってる由依もすごく可愛い」 そう言って本当に嬉しそうにオレの頭にキスをするけど、そんな理人も可愛いぞ・・・て、言わないけど。
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