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【自創作】君がいなくなるとき。
朝早く起きて何をするのか。そう聞かれればいつもは『作業したりしてる』と答える。だが今日は荷造りをしている。持ってきたもの、新しく増えたもの……自分の物をバッグに詰めていく。
「……ういしょ、っと。これで全部かな」
片付け終わった私の病室は昨日、いや今日の朝まではここで寝泊まりをしていた場所のはずなのに『元から誰もいなかった』みたいに綺麗な病室になった。そして誰かを起こさないように病棟を出る。
「……この場所ともお別れか。」
そう呟いた。…元々此処に僕が居ては駄目なのだ。色々な物事や感情を学べた此処は楽しかった反面、僕には『みんな』が眩しすぎた。…けど、それが心地良さ、だったのかもしれない。そう、思った。それと同時に何かが頬を伝って落ちていく感覚がした
「……涙、?…はは、おっかしいな、泣くはずないと思ってたのになぁ……」
頬を伝ったのは涙だった。やっぱり本心では此処から離れたくないんだろう。そんな自分の気持ちを無視して、私は小さな声で、けれど、はっきりと言った。
「今まで、ありがとう。そして、さようなら」
そう言い、バッグを持って私はこの場所をあとにした。
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