夢中病。

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夢中病。

水守ちゃんが「夢中病(ゆめなかびょう)」という病にかかった。我や月ちゃん、紬ちゃん、もみじ、水守ちゃんの陸奥守で救出できた。我は夢中病が気になり政府の書庫に入ろうとしたが当然断られる訳で。唯一の手がかりはあの時こんのすけと、もみじ、陸奥守が言っていたことだ。「夢中病は過去の夢の中に囚われ、そのまま目覚めない霊障の1種」「過去に起きた出来事、辛い出来事を中心に夢の中に縛り付け衰弱死させる」「夢中病患者を助ける為にはある程度の霊力を扱え、過去から助け出す仲の良い人が必要」という3つの情報。今日の近侍、加州とおやすみの挨拶を交わし審神者部屋に敷いてある布団に寝っ転がる。 「夢中病…か。いつかなりそうだけどみんなに迷惑かけれへんしな…。まぁ今考えてもわからんか…。寝よ…。」 そう言って我は寝た。 その日から約1週間ほどだろうか。何事もなく過ごし、何事もなく寝た。…はずだった。 「ここ…どこやねん。」 我はしっかりと寝たはずだ。それなのにいつもと違う天井。目線も低い気がする。 「えっ、これ…過去の…我。」 姿見で自分の姿を確認すると封印したはずの過去の我、琥珀だった。取り敢えず部屋を出てみると部屋が変わった。目の前に女性二人が居る。その人たちは我の前に来るなり暴行を加え始めた。 「っ……!!」 『気持ち悪いんだよ!!』 『お前なんか生まれなければよかったのに!』 そう声が聞こえる。これは過去の記憶だ。ということは夢中病だろうか。 「(壊さなきゃ…壊さなきゃッッ…!!!)」 でも身体は言うことを聞いてくれない。出なきゃ行けないのに、!みんなが待ってるのに、!!それでも身体は動かせない。それに場面は目まぐるしく変わる。学校で虐められ、家で虐待をされ。三日月といた時の記憶はスッパリと切り抜かれていた。 そして我は"人間に…恐怖と憎悪を抱き最初の部屋の中で震えていた。"……だけど。一刻も早く戻らないと皆が心配する。だから我は……僕は歩き始めた。 周りから「死ね」「消えろ」「気持ち悪い」等の幼稚な悪口が聞こえてくる。今更なんてことない。夢の核、つまり依代は最深部にある。僕はその最深部に向かっている。夢の主なんだから最深部が何処かなんて知らないはずがない。まぁその最深部に依代は"2つ"あるのだが。最深部に通じる1番右端の扉を開ける。その扉の奥は神社だ。でもまず僕が用があるのは本殿でも、拝殿でもない。拝殿のその奥の……少し離れたところにひっそりと佇んでいる祠だ。その祠に1つ目の依代が入っている。その祠に依代として入っていたのは 「三日月形のネックレス……。」 三日月形のネックレスだ。依代には2つの破壊方法がある。1つは霊力を流し込み壊す方法。そしてもう1つは…依代の御札を剥がし破壊する方法。まぁどちらも記憶を見て解決してないので後々悪夢を見ることにはなるが。そう思いながらまず1つ目の依代の御札を剥がす。ここから3分以内だ。次の依代を見つけ出し剥がすまで3分で終わらせなければならない。僕はダッシュで本殿の棚の前まで移動をする。 「……はっ?」 ……どういうこと。本殿の棚にはない。ということは…!2分が経った後だというのはわかっていた。本殿から少し離れた拝殿へダッシュする。なかの小さい机の上にある小さい箱。その中には 「あった…!三日月の髪飾……」 これは夢の中。ここでもう1つ依代を壊したところで現実世界のふたつには影響がない。でも躊躇ってしまった。もうすぐ3分経つ、というところで勢いよく髪飾についている御札を剥がす。 バリバリバリッ そう音を立てて目の前が割れていく。嗚呼壊せたんだ。この悪魔を。夢中病を。さあ起きよう。みんなが待っている所へ。 次目を覚ますとよく見慣れた和の天井だった。涙を流す短刀たち。それを慰めるいち兄や岩融。4振とも泣いている、新撰組の刀たち。その他数振の刀剣達が布団を、我を囲っていた。皆大歓喜していた。我が起きたことに。そうして夢中病から脱出した訳だが……。やはり正攻法で解決してない為よく悪夢、過去の夢を見る。どうしたもんか。
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