第3幕 死闘

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第3幕 死闘

暗転して真っ暗な舞台上。 大輔「うわあああああ!」 一気に明転。 舞台奥のホリゾント幕の西陽が、前より大きめに差している。 隆一「ど、どうした!」 大輔「どうしても覚えられん! この、天正遣欧少年使節っての? 日本史の人名の分際で、カタカナ名乗ってんじゃねえっつーの!」 琢磨「あ、ホントだ。名前がカタカナだ」 大輔「あと、この細川ガラシャってのもすげえな。南海の孤島からやってきた、古代生物の生き残りってとこだな」 BGM 『特撮』が流れる。SEで怪獣の声や逃げ惑う人々の声も流す。 センターのスポットに琢磨と大輔が来て、他は薄暗くする。 琢磨「隊長! ガラシャです。ガラシャが晴海埠頭に上陸しました!」 大輔「よし、対ガラシャ用レーザー砲を使うんだ!」 琢磨「あああっ! 何てこった。隊長! ガラシャが、国会議事堂に取り憑きました!」 大輔「……っ! やむを得ん! 撃てぇ〜!」 SE「レーザー砲」 大輔・琢磨「総理ぃ〜〜!」 照明、戻る。 隆一「しょうがねえだろ! 洗礼名なんだから!」 琢磨「え?」 大輔「マジで?」 隆一「マジで」 大輔「(琢磨に)洗礼名って、何?」 琢磨「ニックネーム?」 大輔「リングネーム? とか?」 隆一「……みたいなもんかな(諦め)」 大輔・琢磨「ふ〜ん」 大輔「カッコいいな」 2人、席につく。 琢磨「でも、このミゲルって、悪役の名前じゃね?」 大輔「ああ、ガ行音って、怪獣の名前に多いよな。ゴジラとか、ガメラとか、キングギドラとか」 琢磨「あと、ゴウダタケシとか」 隆一「それは怪獣じゃねーよ! ……まあ似たようなもんか。ガ行だけじゃなくて、濁音も多いよな。バイラスとか、ラドンとか」 大輔「(教科書見ながら)小早川秀秋って言うと、ひ弱そうで、いかにも鉄砲にビビってそうだけど、ゴバヤガワ・ビデアギって言うと、何だか強そうだもんな」 琢磨「おお〜! 強そうだな! 最初から裏切ってそうだな!」 大輔「……最初から裏切ってたって事は、元々味方って事じゃね?」 琢磨「あ〜」 隆一「東軍目線で言えば、そうなるね」 琢磨「ああ〜!」 大輔「あとこの、卑弥呼? ビミゴンってやっぱ、怪獣だね。コレは夢の島から現れて来そうな感じだな」 間髪入れず、BGM 『特撮』が流れる。SEで怪獣の声や逃げ惑う人々の声も流す。 センターのスポットに琢磨と大輔が来て、他は薄暗くする。 琢磨「隊長! ビミゴンです! ビミゴンが現れました!」 大輔「よし、アトミックバーナーを使うんだ」 琢磨「アトミックバーナーですか!?」 大輔「ヤツは東京中の1週間分のゴミに、宇宙から飛来した隕石が合体して出来た生命体だ。マキシマ博士が発明してくれた、アトミックバーナーが有効だ。七万度の炎で、ビミゴンを焼き尽くす!」 琢磨「ああ〜! 何てこった。隊長! ビミゴンが、東京タワーに取り憑いた〜!!」 大輔「何てこった! テレビが観れなくなる……」 BGM『特撮』フェードアウト。照明も元に戻る。 隆一「何をやってるんだ!」 琢磨「大体さ、時代劇とかでやってくれてれば、イメージが湧きやすいんだよ。直江兼続とか、篤姫とか」 大輔「だろ? 『イトウマンション』なんて、番組見た事ねえもん」(言い間違いに思われないよう、"マンション"をつぶだてる) 琢磨「伊藤さんが経営するマンション?」 隆一「じゃあ、さ。イメージしやすくする為に、キャスティングしてみりゃ良いんじゃない?」 大輔「じゃあ俺伊藤マンショやるわ」 隆一「そー言う事じゃなくて、実在の俳優でイメージして……」 琢磨「じゃあ俺、千々和ミゲルな」 隆一「話聞いてるか?」 琢磨「じゃあお前、ハラ・マルチノな」 隆一「ハラ・マルチノ?……この変な帽子被ってる奴? 嫌だよ〜」 琢磨「贅沢を言うなーっ!」 大輔「あれ? 1人足りない」 隆一「天正遣欧少年使節は4人だもん」 大輔「くっそお〜! 何でこんな時に貴明が居ないんだ!」 隆一「またそこかよ!」 大輔「……最近思うんだけどさ、歴女っているじゃん」 隆一「歴史好きな女子のことか」 大輔「アレって、思うんだけど、2種類居るよな」 隆一「はあ」 大輔「歴史オタクに混じってる女子で、あくまでオタクって場合と、可愛いのに、たまたま歴史が好きって場合」 琢磨「お笑いしか生きる道のなかった女芸人と、可愛いのに、たまたま芸人を志した女の子の違いってとこだな!」 大輔・琢磨「う〜ん、深いな」 隆一「わーーーーった! 分かったから、早く課題やろうや」 ゆっくり暗転
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