いつから、そこに居るのか

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「おい、フェイル次だ」 「ちょ、ちょっと待ってくれ 半殺しまではいかないがかなりボロボロ になるまで戦ってるからかなり疲れるんだ」 「何を言っている、戦闘中に魔族に待った なんて言えないんだっ、ぞ!」 喋り終わる前に殴り掛かる なんとか躱すフェイル 肩で息をしているフェイル相手に私がとる行動は1つ 真正面から潰す これに限る 今のフェイルは封印前の私よりも弱い 手を抜いてはいるが、気を抜いてはいない 違いはそこまで無いような気もするが 全然違う 手を抜くというのは1発で終わらせないことを目的とし 気を抜かないのは相手の甘えた部分 つまり、隙をつくことは怠らない そんな戦い方をしている つまり余裕なのである 「ほら、スピードが落ちてるぞ」 「うるせぇ、こっちは全力なんだよ」 そんなことを言っている間に 拳がみぞおちにめり込む 内蔵は破裂してないが、うずくまって立てないレベル 「アーシャ、回復を」 「あ、あのディアさん」 「なんだ?早くしてくれ」 「そろそろ、辞めた方が」 「ぬるい事を言うな、お前も分かってると 思うがこいつは強くなり続けている それがこの世界でどれだけ異常なことか 分からないわけではないだろう?」 「そ、それはそうなんですけど」 「なら、さっさと回復しろ 時間は待ってくれん」 「分かり·····ました」 アーシャの言い分も分かる やり過ぎだ と言いたいのだろう 分かってはいる だが、早くそれなりに戦えるようにしておかないと····· 嫌な予感がするのだ 「次で終わりにしよう」 「それは、助かる」 「ふん、お前も立ち上がる事を辞めないな」 「うるせぇ、目の前に強いやつが居るんだ これ程楽しいことは無い」 「威勢は良いな」 そう言って構える 初めて見せる構え 「今から私の奥の手とまではいかないが それなりに強い技を見せてやる ステータスに物を言わすのではなく 魔力を混合させた戦い方だ 格上相手にしか使わないが お前の教育の為だ、見るだけでも勉強に なるだろう」 「俺、死ぬんじゃねぇの?それ」 「大丈夫だ、かすり傷程度で終わらせてやる ·····最もお前が対処を間違えなければだが ··········構えろ」 フェイルが構える 私も魔力を少し解放する 今までは素手での戦闘 魔力を纏うことは無かった 何故か 簡単だ、フェイルが1発も耐えれないから 魔力が使えるという事は こいつに少しだけなら全力を出せるという事 この短期間での成長は素晴らしい だが、天狗になってもらっては困る 「行くぞ」 フェイルとの間合いを急激に詰める 間合いよりも1歩引いた位置で止まる そうすると、フェイルが刀を振り下ろす がそこには何も無い 1歩前に出て首元に私の手刀を置く 「お、おい今の」 「なんだ?見たことあるのか?」 「これは、エゲルを見つけた時にやられた のと、同じ類のものだろ?」 「私はその時刀の中に居たから分からん が、今のが何か分かったか?」 「··········恐らくだが魔力か?」 「ふむ、悪くないな 今のは身にまとった魔力をスピードに物を 言わせて一時的に自分の体と同じ形のまま 前に押し込んだ感じだ」 「だから、1歩遅れてディアが出てきたのか」 「そうだな、間合いを詰めつつ相手に対して 先に牽制をかけ、相手の対処を見た後に こちらが動く つまり、後出しジャンケンを無理やり作る ステータスが同じであれば同じである程 この戦い方は有利に働く しかも、魔力が有るだけで戦えるから 今のお前でも使えるぞ」 「なるほどな、説明されたら分かるが 今の一瞬で判断するのは難しいと思う」 「だから、ステータスに差が無い方が良い という事だな ステータスに差が有ると勝負はほぼ 一瞬で決着がつく この前エゲルにほぼワンパンされたろ? ステータスが高い方があういうこと出来る から、今のはちゃんと相手を見極めて使う ことだな」 「分かった」 「よし、なら少し休憩して出発しよう」 アーシャに回復魔法を施してもらう間に今の戦い方を復習する 目の前に残っていた魔力はほぼディアと言っても差し支えない程に原型を留めていた 違う点があるとすれば目や鼻等の穴が空いている部分が魔力の色に染まっているぐらいでそれ以外は差が無かった 緩急を付けるだけのこと だが、それでも技量が出ていることが分かる あれを自分の物にした時どれ程楽に戦闘が出来るか想像する事が楽しい ディアと出会って戦闘の訓練を受けるようになってから戦いが楽しくてしょうがない 上には上がいる当たり前のことだが 実感するとより、戦闘が楽しくなる 学生時代は自分よりも弱いやつしか見てこなかったから余計にそう思う 「フェイル〜、回復魔法かけられながら ニヤニヤしないでくれる? ちょっとキモチワルイ」 「うるせぇ、今俺は楽しいんだよ」 「なんだ、こんな美少女に回復魔法かけて 貰ってるからニヤニヤしてるのかと思った」 (まぁ確かに容姿は良いよな) 長いまつ毛に 金色の髪の毛 体には無駄な肉がついていなく 手足も長い そして笑顔も抜群に可愛い だが、何故だろう何も思わない 何も思わないと言うのは邪なことを考えれない という意味で、である 可愛いとは思う 思うんだが何故が、こう·········· 俺の言いたいこと分かる? 「おい、昼間からイチャイチャするな」 「ご、ごめんなさい」 と顔を赤くするアーシャとは対象的に 「別にイチャイチャしてねぇだろ」 と、返すフェイル 頬を膨らますアーシャ 頭が???で埋まるフェイル それを見てやれやれと肩を落とすディア 「フェイルの治療が終わったら直ぐ出るぞ」 「なんでそんなに急ぐんだ? 別にリベリアで1泊すればいいじゃないか」 「1泊出来るなら·····な」 何を言ってるんだこいつは? リベリアは普通の街だ 街に入るための関所を抜ければ後は王都と同じように宿を探して飯を食って風呂に入って寝るだけ それが当たり前に出来る街がリベリアだ 「ここからなら夕方までには着くだろう 道中気をつけるのだぞ」 そう言ってディアは刀に戻って行った
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