いつから、そこに居るのか

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目を開ける 空は暗く星以外見えない 近くで火が燃えてる音がする 「お?フェイル〜おはようー!」 俺の顔を覗き込んでいるアーシャ 「アーシャ、回復ありがとうな」 「うむ、感謝したまえ!」 ふんぞり返るアーシャ 元気そうでなによりである 「やっと起きたか もう少し遅かったら叩き起すところだぞ?」 ディアの声 「ディアさっきはすまなかった」 頭を下げる 無論、刺した事だ 我を忘れ、怒りに身を任せて八つ当たりした 自分に戦闘の訓練をしてくれた相手に 勇者と一緒に魔王討伐した者に 無礼なことをしたと思う 「なんだ、気にするな 赤子がじゃれてきたぐらいのものだ」 そう言うとディアは立ち上がり火を消し始めた 「あ、そうだフェイル さっきディアさんと相談してたんだけど フェイルが起きたら、この街を出ようって 決めたの」 「?なんでそんなに急ぐんだ? 魔物の残党はあらかた殺したし、他に魔族は 見当たらないぞ?」 「それはそうなんだがな さっきお前が半殺しにした、魔族の役割が なんなのか考えてたのだ 恐らくだが、連絡係だろう 街に、残り魔族との意思疎通をとる その役割が消えたのだ どの、魔族が襲いかかってくるか分からん それに、この街にもう用は無い それなら、次の街に早く行き これ以上犠牲者を出さない方が いいんじゃないか?」 ディアの言う通りかもしれない 確かに滅ぼした街に魔族もどきが居るのは少し疑問だった 連絡係なら、腑に落ちるところは有る 「ほら、さっさと起きろ」 「ちょっと待て、今行く」 そう言って立ち上がろうとしたが、足に力が入らない 「バカ者、血の流し過ぎだ おんぶしてやろうか?」 「心配するな、それよりも いざとなったら、アーシャを頼む 今の俺では無理だ」 「ふん、なんだわきまえてるじゃないか」 「とりあえず目的地は王都で良いか? 今回エアフォルクした人間を王都に連れて 帰るのが俺らのミッションだったんだが 居ないなら居ないで報告しなければならない」 「分かった それなら、来た道は少し遠回りだな まっすぐ帰るぞ」 「その方が助かる」 「フェイル体に違和感を感じたら直ぐに言う んだよ?」 「おう、分かった ありがとうな」 「イチャイチャするな、さっさと行くぞ」 「だから、イチャイチャはしてねぇって」 そう言いリベリアを出た·········· 〜数時間後〜 「なんだ、あいついないじゃん 使えないな〜」 そう言いながらリベリアを徘徊する魔族 (それにしても、誰があいつを殺したんだ? 魔族もどきだが、それなりに強かったはずだが) そんな事を考えていると 有る人間の顔と魔族の顔が浮かぶ····· ニヤァと口角を上げる 「数日前に会った2人の人間とディア ディアが生きていたことは想定外だったが あの人間は面白そうだから生かしたが まさか、私の部下を殺すとは·····」 楽しみが1つ増えた子供のようにご機嫌な エゲル 「そういえば、この街なもう用は無いし ··········消すか」 そう言い手の上に手のひらサイズの魔力を出す それが見る見る小さくなり赤色に染まる 「人間共手土産だ ありがたく受け取りな」 そう言うと同時に手のひらの魔力が膨張を始める 一瞬膨張を辞めたように見えたそれが今度は 瞬時に爆発する リベリア全体を覆う火となり全てを燃やす 灰すらも燃やしそうな火 その中から悠々と歩いて出てくるエゲル 口角が上がったまま 「私を楽しませてくれよ?人間」 そう言い残し闇の中へと姿を消した
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