いつから、そこに居るのか

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「おーい、フェイルー」 名前を呼ばれた、読んでくる奴は1人しか居ない 「なんだ、アーシャ」 こいつはアーシャ 腐れ縁だ 故郷からこっちに来てお互い初めて話した相手ということから今日に至るまで何かと繋がりの有る人間だ 「フェイル進路の希望出した?明日までだぞーって先生言ってたよ?」 ·····忘れてた····· 「まぁどうせ私たちなんて進路決まってるようなもんだし出す必要無いとは思うんだけどね〜」 今の俺たちの年齢は18あるいは18になる年である 18になると自動的に学校を卒業でき、卒業後は各々働くと言う形なのだが 先程も言った通り『 エアフォルク』した人間は能力値及びスキルが他の人間よりも高い為良い就職先に行ける その為進路希望を全員が出しどの道に進むのか決めるのだ 『 エアフォルク』してない人間は基本的には 冒険者になり魔族及び魔物を狩り生活している つまり出そうが出すまいが冒険者行きになるのである 「明日18になるからってそんな急に、はいサイナラって薄情過ぎるだろ」 俺は明日18になる、アーシャより一足早く卒業し冒険者になるのだ 「でもさ、フェイルのことなら国王に呼び出されたりするんじゃないの?」 「辞めろ、めんどくさい事この上ない」 『 エアフォルク』してない人間が稀に冒険者ではない稼業に就く事がある····· 国王からの命令で勇者を探す旅に出るのだ 一見良さそうに見えるが実際は悲惨だ 国からの援助はほぼ無し つまり道中食いつなぐ為には冒険者の稼業もしなければならない しかも、勇者を探すのが土台無理な話である それがなぜ無理なのか····· アーシャに話しかけられる前の続きを話すとしよう 俺たちがなぜ『 エアフォルク』しないまま基礎を学んでいるのか それは勇者の存在が大きく関わっている 今より100年も前の話 突如として勇者と言われる人物が現れた 勇者は17歳にして『 エアフォルク』を実現し 所有スキルが4つ ステータスは魔族を一捻りすることも容易いレベルにまで達した 勇者は魔王を倒しその生涯を終えた ここまでは例外が存在する という話で片付くのだが 20年前魔王が復活し魔族達の勢いが増しているのだ それで魔王を討伐する為に勇者が必要で 勇者になる為の条件として 『 エアフォルク』を15歳以上で発現する必要が有る つまり俺たちみたいな出来損ないを集めて基礎を磨き続ければいずれ勇者が現れる と思っている連中が居る訳だ それに付き合わされて18歳になるまで基礎を磨いているという現状だ ·····まぁ今日で終わるのだが····· 「フェイルのステータスならそうそう簡単にはやられないし、適任だと私は思うけどな〜」 「呑気なこと言ってんなよ、俺にだって選ぶ権利有るだろ」 「国王からの命令は絶対だからフェイルの意思は関係無いんだけどね」 「チッ、うるせぇな」 ·····?いや、待てなんでこいつ俺のステータス知ってるみたいな口ぶりなんだ? 「おい、アーシャお前なんで俺のステー…」 学校の放送が鳴った いつの間にやら学校の区画に入っていたらしい 「フェイル君今すぐ校長室に来なさい」 2度か3度繰り返した後放送は終わった 嫌な予感しかしない 特に悪さをした訳ではないが今日が17歳最後の日である大体察しはつくが、なんで俺なんだ? 「フェイル君担当直入に言わせて貰うが君には勇者を探す旅に出てもらいたい」 (もらいたい、じゃねぇだろこっちに拒否権無いんだぞ) 「国王様から相談があってね18歳になる子で未だに進路希望を出していない生徒が居ないか聞かれたのだよ、で君しか居なかったって訳」 そんな軽い感じで決めていい物なのか? 「とりあえず明日は王宮に行きたまえ、国王様から直々にお話があるのでね」 ··············· という訳で家に帰ってきた、放送で呼ばれてからというもの何時も身近に居る人間が居ないというのは以外と落ち着かない感じがしたことに内心嫌気が差しつつ明日も朝が早いのでさっさと寝ることにした
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