いつから、そこに居るのか

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翌朝 起きて第1の感想が 布団で寝るとは素晴らしいことである だった (野営続きで硬い地面を背に寝てた時とは疲れの取れ具合いが全然違うな) そう思いながら寝起きのストレッチをして 体が回復したことを再度認識する (さて、今日はどうするかな) 昨日寝る時に酒を飲んでいたディアは刀に戻っていた 抜き身の刃物が床に落ちてた時少し ゾッ としたが理由が分かれば仕方ないことでもあった (そういえば、ディアの封印を解除する方法はあるのか?) こちらとしては別に気にしてないが 本人がめんどくさいのではと思っていた (魔法関係は分かんねぇから、アーシャとディアに聞いてみるか) そんな考え事をしながら歯を磨く 蛇口を捻れば水が出る素晴らしいことだ 歯磨きを終え、昨日買ってきたものの中から適当に朝飯をつまむ (アーシャが起きたら装備でも新調するか?) やることが無いとはとても暇である 暇ということは平和ということでも有るから一概に悪いものでは無いが何かしてないと落ち着かない性分らしい (これなら、毎朝起きて学校に行ってたのも悪くはなかったのかもな) 朝食を終える さて、本格的に時間が余った アーシャはまだ寝てるのだろうか? 寝起きの女子の部屋に行くのも気が引ける 「どうしたもんか」 一言呟く 「バカもの起きたのなら声をかけんか」 「うわっ、びっくりした」 「気を抜きすぎだ」 「居るんならもっと早く声掛けてくれよ」 振り返るとディアが立っていた 刀を鞘に戻さず放置していたから外の情報が流れてきたのだろう 「で?何か用か? 俺は今凄い暇だから 大抵のことには付き合うぜ?」 そう言ってディアの顔を見る 「そうだな」 黙り、考えるディア 「アーシャは起きてるのか?」 「いや、分からない 俺も起きてから1歩も外に出てないからな」 「そうか、ちなみに部屋はどこだ?」 「ここの隣だが、どうかしたのか?」 それを聞くや、ディアは部屋から出てアーシャの部屋に向かった 「おい、アーシャ起きてたら返事をしろ 起きてないなら、起こしに行くぞ」 横暴である 流石にアーシャが可哀想なので 「寝てるか起きてるか分からないんなら もう少し時間を開けろよ?」 驚いた顔をするディア 「お前…まともな事言えたんだな…」 「俺をなんだと思ってるんだよ……」 「しかし、お前の言うことも一理あるな …ふむ、ならフェイル貴様の武器を新調しに 行くぞ、刀1本で戦うのは何かと不便だろう からな」 「ちょうど俺も同じこと考えてたんだよ アーシャ起きるまでは、適当に散歩するか」 「ほら、さっさと支度してこい ついでに何が合うか見てやる」 「了解ー」 部屋に戻り服を着替える 歯磨きと朝食を済ませておいて良かった 遅くなれば何を言われるか分からない… 「支度出来たぞ」 支度を済ませ、外に待たせていたディアに声をかける 「よし、それならまずは武器屋に行こう」 そう言って、出発しようとした時 「ちょ、ちょっと待ってー 私も行くー!」 「なんだ起きてたのか 返事ぐらいせんか」 「違うよ〜今起きたんだよう 起きたら、ディアさんとフェイルの声が 聞こえてきたから慌てて外に出たんだもん」 寝起きで髪がボサボサのアーシャ パジャマ姿のままなので、本当に急いでいたのだろう 「準備待ってるから、早く済ませてこいよ ついでにアーシャの分の装備も見ようぜ」 「うん!、ちょっと待っててね!」 ………… ちょっとの概念について語ろう 俺の感覚的にはちょっと、とは 遅くても30分である アーシャが支度を初めて1時間は経っている (女子ってなんでこんな遅いんだ……) あまりにも暇すぎて眠気が襲ってきている (少し寝るか?支度出来たら起こすだろうし) そんな事を考えていると 「ごめーん、遅くなった!」 「本当に遅すぎだ」 と、頭に手刀を当てる 「痛いじゃんか!」 「ちょっと待ってて が、1時間とか想像つかねぇだろ それなら、最初から1時間って言ってくれよ」 「しょ、しょうがないじゃんか! 寝癖すごいし、戦闘無いんならオシャレ したいし!ご飯も歯磨きもしたいんだもん!」 「おい、イチャイチャするな」 「だから、イチャイチャしてないって!」 2人同時に言う ディアはやれやれと肩を落とす 「とりあえず、準備出来たんなら行こうぜ 遅れた1時間取り返さないとな」 「フェイル今度怪我しても回復魔法掛けて あげないから」 プイ っとそっぽを向くアーシャ 「はぁ、しつこくて悪かったよ ほら、行くぞ」 「分かればよろしい!」 「お前たち、どんだけ仲が良いんだ?」 2人して?と顔を見合わせる 「別にふつうじゃね?」 「私フェイル以外男友達居ないから分かんない」 じっ、とこちらを見つめるディア 「ふん、まぁいい、ほらさっさと行くぞ」 そう言われ、3人で街に出る (そう言えば、なんで急に装備の新調なんて言い出したんだ?) 刀1本では不便なのはそうだが 別にそんなに急ぐものでもない気がする 旅に出る前に買っても遅くはないだろう (まぁ、こんな日があっても良いか) そんな事を考えながら、ディアとアーシャの後ろを歩く 仲良さそうに喋る2人を見ていると僅かに微笑んでいる自分が居た
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