いつから、そこに居るのか

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アーシャの元へフェイルを運び急いで回復魔法を使わせた フェイルを見るなり顔面蒼白レベルまで血の気が引いていたが喝を入れて魔法を使わせた (……私も回復魔法を覚えるべきか?) 魔法は習得や威力の増強などをスキルに頼ることが多いが 別に習得出来ない、威力が弱いという訳では無い 習得したり、威力を上げたりすることに時間を費やすのが効率が悪いというだけである (だから魔族が魔法を使いながらの戦闘が得意なのだが……回復魔法は習得してこなかったな) ぼーっと考え事をしていると 「ディアさんとりあえず安心出来る位には 回復出来ました」 と、額に汗を浮かべながらアーシャが部屋から出てきた あれだけの傷を治したのだ集中力と魔力はかなり疲弊しただろう 「ありがとう、アーシャ」 「ディアさんがフェイルを担いできた時は 驚きましたが、状態を見るに出血は概ね 止まってるのと傷の位置も致命傷からは 少し離れていたので、そこまで焦らなくて 良かったのが救いでした」 「アーシャ1つお願いがあるのだが」 「?私に出来ることであれば力になりますよ?」 頭に??を浮かべながら聞いてくるアーシャ (うむ、可愛いなこいつ) 大方フェイルに思いを寄せているのだろうが この美少女を前にして自然に振る舞うあたり あいつ、欲というものが欠落してるんじゃないか? などとくだらないことを考えていると 「あの〜、ディアさん?」 名前を呼ばれ我に返る 「あ、あぁ、すまない 少し考え事をしていた 結論から言うとだな、私に回復魔法を教えて ほしいのだ」 「それは、別に構いませんが ゴニョゴニョゴニョゴニョ」 本当とに喋りながらゴニョゴニョ言う奴は初めて見たと思いながらも 「別に、お前から役割を取ろうというわけでは ないのだぞ? 今回のような時に私も多少なり回復魔法を 使えた方が便利だと思ったのだ」 「そ、そういう事でしたら大丈夫ですよ!」 ……うむ (こいつは、フェイルの事好きすぎだな なんで、こんなに好意を持っているのかは分からないが人の好みは様々である、口は出さないようにしよう) 「助かる なら、まずは何をすれば良い?」 「う〜んとですね…… 私は感覚で使ってるので説明が難しいんです けど、なんか魔力の流れが違う?らしいです」 ……やはり、天才とは感覚なのだろう 何一つ分からん (そう言えば……ステータス見てみるか?) 意図的に見ていない訳では無い なんとなくタイミングが無かったという訳で、 アーシャのステータスは見たことが無かった 勝手に見るのは失礼に当たると思っている (しかし……ステータス見させて! なんて言う訳にもいかないしな……) と、考えていると 「うっ……」 という声と共にフェイルが目を覚ます 「ここ…は……?」 「バカもの天井を見て分からんのなら 何処にいても分からんだろうが」 「……俺の部屋?」 と言うと同時に飛び上がる 「お、おいあいつは? ていうか俺死んでないのか?…」 そう言いながら首を触るフェイル 「はぁ……お前は途中で気絶したんだ 刀が抜かれていたから途中から私が相手 したんだよ」 ため息混じりに答える 「危なかったな? あのままだと本当に死んでいたぞ?」 死ぬことはなかったが、一応死ぬ方向で話を進める 恩を売る訳では無い 相手の情報が少ない為一応敵として認識させておこうという思惑 敵では無いのならいいのだが いきなり半殺しにしてくる奴を味方だと思うのも無理があるだろう それにあいつの主 あの手練の主がどれほど大きい存在なのか 分からないうちは警戒していて損もない 「そうか…… ディア、助かったありがとう」 …… こう…なんと言うか…… まっすぐ礼を言われると、隠し事をしている身としては少し気まずい 「なに、気にするな 弟子のお守りをするのも師匠である私の 役目だ」 驚いた顔をしているフェイルとアーシャ (何をそんなに驚いてるんだ?) こっちは恐らくだが間抜けな顔をしている 「ディアが師匠か…… それは、何か悪くないな」 と笑っているフェイル 反対に 「あ〜あ、そうやって目の前でイチャイチャ するんですね、2人共もう知りません」 と ムッスーからのプイ を披露するアーシャ (アーシャをからかうのも楽しいな) と、私は凄くどうでもいい事を考えていた 「あれだけ、戦闘面の世話をしているのだ 師匠と言っても過言では無いだろう?」 「そうだな……これからもよろしく頼む」 と、頭を下げるフェイル 現状こいつとまともに訓練を行える相手などいないだろう (久しぶりに見てみるか) フェイルとステータスを覗き見する HP105000/110000 MP550/550 attack/4200・agile/6000・recite610 Physics,P2500・magic,P900 スキル・?? 相変わらずスキルは分からないが スピードが以上に伸びている 倍に伸びたスピードのステータスを考えるに こいつのスキルの能力?は恐らく経験を積んだもの、プラス自分に足りないと感じたものに偏ってステータスが伸びるのかもしれない (1度全力の攻撃を受けてみるか?) 致命傷には絶対にならないと思う 当たりどころが悪かったらなるかもしれないが 恐らくならない 速さに振っているおかげで攻撃面はそんなに変わってない (それでも速さは重さにもなりうるから 危ないか?) 考えてみれば面白いことである 一撃で倒せる相手の全力を受け止めて上からねじ伏せる……愉悦に浸れそうである 「フェイル体の調子が戻ったら組手をやるぞ 恐らくそろそろ命令が届くだろう 時間を無駄には出来ん」 「それなら、明日からやろう 体を動かすのは明日からでも問題無いと 思う」 「分かった…それなら今日はもう休め 周辺の監視は私がしておいてやる アーシャ悪いがフェイルを頼めるか?」 「がってん!」 そう言い残し私は部屋を出て屋根に登った 日差しが消えて月が見える 月を見ながら1杯やりたいところだが 監視役を買って出たのだ、役割はきちんとこなすとしよう 月を見ながら、夜風にさらされるのも悪くない と思った
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