いつから、そこに居るのか

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翌朝、起きて王宮に行ってきた 予想通り王様からの命令は勇者を探すこと その為の援助は出立時の多少の金貨と立派とは言えない装備 それと····· 「で、なんでお前が着いてくるんだ?」 「フェイル1人で行くとか危ないじゃない、だから希望したの」 と、アーシャ そうアーシャが着いてくること アーシャが18歳になるまで後1週間はあるはず 時期を早めて卒業し、勇者を探す旅に出るという事に不満は無いのか·····と言うより冒険者になり人生を送る方が楽である 王都から1歩出れば下級の魔物程度なら結構居る それらを複数狩り報酬を受け取り生活する 勇者を探す旅に出るということは冒険者の稼業をこなしつつあらゆる街を旅しなければならない、そして度々王都に戻り報告 そしてまた旅に出るの繰り返しである これだけ聞けば道中が長くて面倒くさそうだけの印象だが 街から街へ移動するということは命の危険も高いのである 街から離れれば離れるほど魔物のが強く凶暴になる、なんなら上位の魔族と戦闘になる恐れもある 上位の魔族は知恵を有しており 知能の高低はあれどそこらに居る魔物よりも数段強い つまるところ進んで勇者を探す旅に出る人間なんて居ないのだ (まぁ、稀に魔族が王都付近、街付近に現れ討伐依頼が出ることも有るが頻度はかなり低いしな) そんなことを考えつつもやはりアーシャが着いてくることがどうしても気がかりでしょうがない 学校での成績は悪くは無い寧ろ良い方である 友人も多く人当たりも良い だが、戦闘面は全くと言っていいほどセンスが無い それもそうだろう本人曰く有しているスキルが 回復寄りのスキルだそうだ 回復寄りのスキルということはステータスが戦闘向きに成長してない可能性が非常に高い 曖昧なことしか分からないがそれ以上の情報を持ち合わせていない為仕方ない (王都に残ってギルド直属の医療関係の職に就いた方が将来的にも安泰だろうに) アーシャは女だ、子供産んで子育てして次世代を見守る資格を持っている 男はそんな女子供から魔物達の脅威を遠ざける 中には最前線で戦闘する女も居るが 少なくとも俺の中でのイメージは上記の2つが主な軸となっている それ故に勇者を探す旅に出る事がよく分からない 「フェイル、さっきから難しい顔してどうしたの?ポンポン痛いの?」 「うるせぇ」 出発は明日、準備をせねばならない 学校を卒業した為、寮はもう使えない 寮から荷物を移動させて、明日の荷造り 荷造りと言っても野営ができる程度の物しか持って行かない 荷物が増えるだけ不便である アーシャには、明日の早朝に王都の問に集合と伝えてあるので後は寝るだけ 寝るだけなのだが····· 案外寝付けないものである 遠足前の子供じゃあるまいし····· 寝付けないし、明日の荷物でも見直すか····· 装備はシンプルにした 防御力は無視して速さと攻撃力だけを求めた 軽装備 武器は刀身が黒い長さが大体70cm?ぐらいのもの なぜ疑問形なのかこの剣若干曲がっているのである、どこか極東の武器らしい 切れ味は十分だが受け方をミスると1発で壊れる可能性が有る 今思えばなんでこれにしたんだろうか? 別に使い捨てぐらいの感覚でも問題ないが、長く使えた方がコストがかからず安上がりである 何故だ? 気がついたらこの剣を手に持っていた 剣の名前は分からない というか、この剣が極東に存在する剣ということ以外分かってないらしい 気味悪がられていたのと、持った感じ使いやすそうだったからこれにしたものの良く考えれば不思議だ 援助された物の中で1番使えそうなのがこの 『 ゼーエン』 と言われるもの 何をする物なのか 機能はシンプルで自分のステータスが視覚化されるようになる。 昨日からステータスがアーシャに知られてそうなことに何故疑問を感じたのか、そして俺は何故アーシャのステータスを詳しく知らないのか 簡単な話ステータスを見ることが難しいのである 学生は1日1回学校の終わりにステータスを計測して終わるが、一般人はそうはいかない ステータスを見るためにまず王都に来て長い列に並び王宮の魔法使いに金を払ってようやくステータスが確認出来る 自分のことなのに自分の見たい時に見れないのは不便だし、見ず知らずの相手に見られるのも不快である なので『 ゼーエン』の存在は大きい 大量生産しようにも極めて特別な魔鉱石が必要なためそう易易と作れるものでは無い。 「ステータス」 一言呟く 目の前に俺のステータスが可視化された HP100000/100000 MP500/500 attack/4000・agile/3000・recite600 Physics,P2000・magic,P750 スキル・?? 「相変わらずスキルはなんなのか分からねぇのか」 「しかしいつ見ても物理特化してんな」 他人のステータスを見たことは無いが異常なステータスな気がしなくもない 攻撃、俊敏、体力どれを取っても前衛向きなのは確かであるがその数字が問題である 例えば相手の攻撃の数字が1000だったとしよう 俺の物理防御力は2000単純に 2000-1000をすれば良い 俺の物理防御力が勝っている この場合ダメージ0、外傷無しとなる 異常なのはこの2000という数値の高さである 学校で実践訓練をしていて俺は今まで “1度もダメージを受けたことがない” 実践訓練とは主に王都から出てその辺に居る魔物を狩るのだがただの1度も外傷を負わずに帰還している 周りは傷だらけか瀕死 無傷なのは俺だけ そして攻撃の高さ この数値も高く基本ワンパンなのである 相手によってはワンパンとは行かない時もあるがそれは武器の問題である 水を切っても元に戻るように相手の特性に合わせた武器であれば魔物はワンパンである 魔族と戦ったことがないから分からないが 少なくとも魔物なら1人で相手にしたからと言って死ぬことは無い なんでステータスがこれ程高いのか 俺には全く分からないのだ 小さい頃鍛えられてたことは有るがそれでも怪我をしなかったり相手を条件次第ではワンパン出来るなんてことは無かった このよく分からないステータスのせいなのか周りは俺を遠ざけ学校では浮いた存在となっていた ステータスが見えないから何か裏があると思われていたのかもしれない と、まぁ俺に馴染みのある人間がアーシャしか居ない理由まで説明出来たところで1番の問題がそう、スキル 俺のスキルは未だに名前すら分かっていない スキルの名前や能力等は1度使用すれば勝手に反映されスキルの持ち主が死ぬまで効果を発揮し続ける そう、俺はまだ1度もスキルを使ったことが無いのだ 学校の先生曰く『 エアフォルク』した人間よりかは低いステータスだが十分『 エアフォルク』 した人間として扱っても問題無いステータスと言われる·····が 『 エアフォルク』はステータスの上昇はあくまで副産物、メインはより上位のスキルを手に入れることその過程でスキルを研ぎ澄まさなければならない つまり、1度としてスキルを使用してない人間が研ぎ澄ましてるなんて事は無く、もれなく俺も一般人として扱われている 「チッ、寝るか」 くだらない学生生活を思い出し不快感を覚え それを忘れるように俺は枕に顔を投げ寝ることにした
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