いつから、そこに居るのか

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結界から出るとフェイルが殺意を持ってエリザベート目掛けて飛び掛る 「…………ふむ」 フェイルの刀を指2本で受け止め 軽く頷くエリザベート 「悪くない判断だな…… 出てきた瞬間なら多少はダメージを与えら れるかもしれないという発送は悪くない だが、相手が悪かったな こう見えても私はディアよりも強いんだ」 そう返しフェイルを刀ごと投げ飛ばす 「さて……小僧まだやるか? 私はいくらでも付き合うぞ」 そう言ってエリザベートは血から鎌を作る その顔は笑っている 久々に強い人間を見つけて楽しんでいるようだ 「勘弁してくれエリ…… ここでお前たちが殺り合うとなれば 私もアーシャもフォローが出来ない」 吸血鬼と人間の戦闘 別におかしくは無いが問題は王都内部という事 しかも部屋の中から始まる戦闘ということはフェイルもアーシャも吸血鬼を匿っている疑いがかけられる そうなれば余り面白くない 「あ〜あ〜…… そう言われちゃしょうがないね」 鎌を血に戻し臨戦態勢を崩すエリザベート 対照的にフェイルは混乱しているようだ 「ディア……お前生きてるのか?」 (本日二度目の生存確認か……) 「生きてるも何もエリは最初から私のこと 殺す気は無かったらしいぞ?」 横で腕を組みドヤ顔しているエリザベート 「どうだ?私の名演技に引っかかった であろう?」 と、楽しそうに返すが 「いや、笑い事じゃない…… なんでそういう事をしたのか説明しろ」 依然としてフェイルは刀を納めない (まぁ、悪くないな) そう思いながら 「エリ説明してやってくれ」 と、促す 「やれやれ、信用無いな〜」 と、結界内で何があったか説明する 「結界に連れ込んだのは 流石に私とディアちゃんが戦闘を始めたら この部屋壊れちゃうでしょ?」 と説明を締めくくる 「ディア本当なのか?」 「本当も何も、嘘なら私は死んでいるぞ?」 フェイルには分からないだろうが力の差があり過ぎる ステータス面もそうだが1番は戦闘に対する経験と考え方 吸血鬼の始祖と言うのなら恐らくだが途方もない年月を生きている 今までに培ってきた経験が違うのだ それとあの結界パラダイス・ロスト エリザベートはステータス面のバフと言っていたがそれだけでは無さそうである ……私相手ならステータス面のバフだけでも事足りるだろうが 「よ〜し用事も済んだし今日の晩御飯何に しよっか!」 始祖様はお腹がすいたらしい……? いや、こいつのご飯血液だろ てか、帰らなくていいのか? 「エリ、国に帰らなくて良いのか? それとご飯は血液なんじゃないのか?」 「何言ってるのディアちゃん 私たちのご飯は普通に人間と同じ 戦闘で血を使ったり減った時だけ血液を 飲むの あと国なら数日空けても問題無い!」 最後にはピースしながら決めポーズ…… (こいつ本当に始祖なのか?) 疑いながらも先程の戦闘を思い出し、疑問が払拭される あの戦闘力が一般の兵士なら今頃この世は吸血鬼の天下だろう 「そういう事でしたら私が作りましょうか?」 そ〜 っと手を挙げて喋るアーシャ 「お主ご飯作れるのか!?」 すっかりお気に入りになったアーシャの提案で ぶっちぎり有頂天なエリザベート 「まぁお口に合うかは分かりませんが……」 仮にも一国の主 王都で言うところの王様に庶民のご飯を食べさせるようなものだ 自信が無いのも頷ける 「気にするなアーシャよ 私はこう見えても国では皆と同じご飯を 食べておるのだ」 胸を張り自慢げに話す始祖 (いや、それで良いのか?) と疑問に思っているとフェイルもどうやら同じことを思ったらしく目が合った 「そうと決まれば今日は私とお主らが初めて 出会った記念に宴をするぞ!」 尻尾があればブンブン音を立てて上機嫌なエリザベート 「宴まではいかないかもしれませんが 豪華な晩御飯にしましょうか」 と、にっこり笑うアーシャ (アーシャも順応が早いな……) やれやれと思い 「それなら今から買い出しに行くぞ フェイルお前はどうせ料理できないから 買い出しに付き合え アーシャとエリで今からでも作れそうな物 を作っていてくれ、直ぐに戻ってくる」 適当に話を進め買い出しに出ようとした時 「おい、ディアよ酒も買ってきてくれぬか?」 と、上目遣いの始祖様 (ずるいヤツめ……) 「……分かった……余り飲みすぎるなよ?」 「うむ!頼むぞ!」 部屋を出る私達に手を振って見送るエリザベート 対照的に何を作るか考え無言のアーシャ 荷物持ち確定で嫌な顔をしているフェイル 三者三葉の顔を見て割と気分が良い自分に驚きつつも、今はこの時間を楽しむことにしよう エリザベートの酒癖がやたら悪い事が証明されたがそれはまた別の話である
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