いつから、そこに居るのか

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朝から色々あって疲れたが昼からはディアが訓練をすると言うので支度をしている 「訓練って何をするのじゃ?」 エリザベートから聞かれたが、答えるのが難しい……と言うより安易に答えていい内容でも無い気がする 「戦闘の訓練だよ、こいつ私から見ても 戦闘経験が浅いからな」 「戦闘経験を積むんならその辺の魔物でも できるじゃろ?」 確かにその辺の人間ならそうなんだが 俺の場合ステータスが向上し続ける為その辺の魔物ではもう石ころと変わらない 「……フェイルどうする?」 どうするって言われてもな…… 個人的にはスキルについて知られるのは良い気分では無い 「俺としてはなるべく明かしたくは無いな それに、俺だってエリザベートのスキル とか知らないから不公平じゃないか?」 始祖が自ら手の内を晒すことはないだろう 相手が渋るのならこちらも渋るという感じでこの話しを終わらせたい 「なんだ、私のスキルがそんなに気になる のか…… それなら、私のスキルを教える代わりに お主のスキルも教えてくれ、それなら 平等と言うやつじゃろ」 (……そんなに躊躇わないなんて思わないじゃん) 「俺のスキルは分からないんだ…… ただステータスが伸び続けているんだ だから、格上の相手との戦闘を繰り返して ステータスを常に向上させると共に 戦闘経験を積んでる感じだな 格上の知り合いが今のところディアしか いないから、ディアにお願いしてる ってところだな」 「スキルが分からない? 何を言ってるんだ?」 (まぁ……そうなるよな) この世界においてスキルは1度使えば名称が分かる つまり1度も使わなければスキル名もスキルの役割も分からない しかもエアフォルクするには早めにスキルが発現しそれの練度を重ね積み上げていかないといけない (俺にはエアフォルクすることはもう無いと言っても過言では無い) 「エリが疑問に思うのも無理はない…… 私だって初めてスキルを見た時訳が分から なかったからな」 ディアが話を繋いでくれたが 「まぁ……俺が1番分からないんだけどな……」 率直に言うと当の本人が1番疑問に思っている それなりに色々なことをした だが、何をしてもスキルが判明せず向上し続けるステータスを見ながら才能が無いと挫折もした 「まぁスキルを教えて貰ったし 私のスキルについても教えるとしよう」 余り納得がいってない様子のエリザベートが話し始めた 「私のスキルは魔力の無駄を無くす感じだな」 ? 「?分からないか?」 「いや、言ってる事は分かるんだが…… それがどう凄いのか分からないんだけど……」 とアーシャとディアの顔を見ると びっくりすると言うより顔が少し引きつっている (そんなに凄いのか?) 「ふむ…… お主もしかして魔法使わないのか?」 「魔法使うより殴った方が早くないか?」 「ははっ、まぁ言いたいことは分かるが 物理だけでは勝てん相手も出てくる その時に魔法を使えるか使えないかは大きく 戦況を変えるぞ?」 (まぁ……それはそうか?) 「話しを戻すが 魔力の無駄が無いと言うことはな 威力、連射、魔力密度どれを取っても 魔力が失われるそれらに対して消費する魔力 が全て最低限しかされないという事だな」 (まぁ……そういう事だとは思うが) それがどれほど戦闘に影響するのか分からない (2人の反応を見るに戦闘に大きく影響するのだろうが) 「ふむ………………………… それならどうなるか試してみるか?」 「試すってどうやるんだ? 恐らくだが俺たちとエリザベートでは ステータス差があり過ぎるんじゃないか?」 エリザベートとディアが結界から出てきた後ディアに聞いた事がある 吸血鬼のステータスが高いと言ってもどれ程高いのか俺たちとの差はどれぐらいなのか ディアからの返答は 「私も先程結界の中でステータスを見ようと したのだがな…名前以外の欄が全て?に なっていた数値の桁も見えないように しているっぽくてな、全て1桁になっていた スキルの個数も1個で名称が?だったのだ」 ステータスを見て対応をする魔族にとって厄介であろうな と付け加えその時の話しは終わった 分からないのでは比べようが無いと言うのが結論だと思うのだが 「そうだな…とりあえず結界を作るか パラダイス・ロスト」 エリザベートが結界を作り4人で入る 景色はディアに聞いた通りで余り長居はしたくない 「まずこの結界を作るのに必要な魔力だが 恐らくディアちゃんで1回出来るかどうか アーシャちゃんは無理 フェイル君は恐らく出そうとした時点で死ぬ」 膨大な魔力が必要なのは分かったが どれ程必要なのか? 「数値にすれば私のスキル無しで考えると 4000は要るな」 4000? ………俺無理じゃん 「無論生命力を削って魔力に変換することも 出来るからディアちゃんでギリギリって感じ だね」 生命力を削る? (難しい話しは勘弁だぞ) 「小僧……頭を使わねばならん時は使えよ?」 呆れ顔でこちらを見る始祖に苦笑いしかできなかった 「エリが使えばどれぐらいの魔力で 足りるのだ? それだけでもそのスキルの必要性が分かるん じゃないか?」 ディアからの質問に対してエリザベートは胸を張り答える 「私が使えばもちろん必要魔力は減る 聞いても落ち込むなよ? 私が使った時の場合は1000だ」 4分の1 そこに驚くのでは無い 最低でも魔力が1000あるということ そして仮に1000使ったとしても次の戦闘に影響が出ないこと 上限が分からないからどれ程の魔力を持っているのか分からないが少なくとも1000使ったとしても戦闘に対して特に苦に感じる事は無いのだろうと思う それが異常であるという事は流石に分かる 「それ程効率が良いのなら、戦闘は余程の事が 無い限り負ける事はないのであろう?」 ディアが聞く 額に汗が少し滲んでいる 異常に対しての畏怖であろう 「そうだな、私は殴り合いの方が好きだから この結界に引きづり込めた時点で魔法は使わ ぬ、魔法を使うとしたら私が負けるか もしくは、外の戦況が余程悪い時 だけじゃな」 そもそもこの結界を使うことが稀なのじゃがな と、付け足し話しを区切る 「この結界本来なら相手にデバフ効果を与える んだよな? それなら、なぜ俺たちは今平気なんだ?」 ふと、疑問に思う 結界に入ってから特に違和感が無い 「本当にそう思うか?」 エリザベートが口角を上げる 「本来の調子と思わせ相手を油断させることが できるとは考えぬのか?」 あげた口角のせいで顔が歪んで見える 歪むと言うより相手を嬲ることが心底楽しそうに見える 「やめろエリ、私の目にもステータス異常は 見えないぞ」 ディアが静止する 「ディアちゃーん、私が楽しんでるのを 邪魔するのは良くないんじゃないかな〜」 と、ハブてている そのには先程のような邪悪な笑みは消えていた 「やれやれ、バラされたらしょうがない…… 相手にデバフを与えるのは確かだけれど その相手を選ぶことも出来るのが私の 結界なんだよ」 と、ため息混じりに教えてくれた 「さて、そうと分かればデバフ無しで とりあえず殴りあってみようか!」 今度は可愛らしい満面の笑みで言い出す が その内容が物騒なので余り乗り気にはなれなかった
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