いつから、そこに居るのか

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「殴り合うにもエリのステータスが高いから こいつでは何も出来んぞ?」 ディアからの真っ当な意見に顔をしかめるエリザベート 「私は除け者にされるのか…… そうか…… せっかく訓練する場所を提供している というのに」 地面に指で円を書きながらブツブツ文句を言っている 「おい、どうするんだ?」 「どうすると言われてもエリの実力からして あしらわれて終わり なんの得にもならんぞ?」 それはそうかもしれないのだが 2人で悩んでいると 「それなら、強敵との戦闘を予想して 3人で戦ってみますか?」 後ろからアーシャが言う ……悪くない 強敵との戦闘…… それこそエゲル相手であればエリザベートの実力は拮抗するか上回る可能性が高い それなら、1人で勝ち目がない戦いを2人で打破していくそういう戦いを経験しておくのも大切なことなのかもしれない 「エリ、私とフェイルとアーシャで戦闘訓練 をしたいのだがその相手役を買っては くれぬか?」 ディアの提案に先程までいじけていたエリザベートは 「何それ面白そう!」 と、目を輝かせている ルンルンである 「私たち3人は単独で行動することが少ない 対強敵に立ち向かうには恐らく連携が必要 だと思う」 「それなら…… 私は1歩も動かないから好きに攻撃して 来るが良い」 「随分と舐められたものだな」 魔力が滲み出ているディア 少しキレているらしい 「舐めるも何も事実を言ってるいのだ 1歩も動かないで事足りると むしろ1歩も動かせないと そう言っているのだ ディアちゃんこそ 始祖を舐めるな」 最後の一言と同時にエリザベートが魔力を放出する その勢いでディアの魔力は霧散し 俺は立っている状態から吹き飛ばされそうになる アーシャは必死にディアにしがみついていた 「さぁかかって来なさい 始祖と言われる所以を今見せよう」 放出した魔力で血の鎌を作る 鎌が怪しく赤紫色に光り 戦闘態勢に入ったエリザベートがいつもより数倍大きく見えこれから始まる戦闘が一筋縄では行かないことが明瞭になった。 結果から言えば 惨敗というか戦闘になっていない そもそも近付けないのである 鎌を持っているが エリザベートの操る血によってそもそも俺たちの間合いに入れない 念の為に鎌を出したのか分からないが 鎌を1度も使わせる事が出来なかった なぜ終わったのかと言うと 俺たちの体力と魔力が尽きたからである 「ふむ……お前たち今まで連携をしてきた事は あるのか?」 エリザベートが岩に座りながら見下ろしている 全員肩で息をしながら地べたに寝転がっている状態な為上から目線という訳ではないだろう 「いや、これ程強大な敵に遭遇したことが無い と言うのが事実だな」 ディアは割と回復したのか、普通に喋れている 「そうか…… それならまずは個々の戦力強化じゃな アーシャもフェイルもディアちゃんに 着いてくる事が出来ていない それでは結局のところディアちゃんの ワンマンショーになるであろう?」 事実ディアに何回守られたかは分からない エリザベートに殺す気が無いとはいえ、一撃でも喰らえば戦線離脱は免れない攻撃を当たる直前でディアが毎回捌いてくれていた それにアーシャは魔法が使えるが回復魔法に偏りすぎていて前線で戦闘をするどころか火力が無く途中から後方で回復魔法ばかり使っていた 後ろからの援護射撃があれば話しが変わるかもしれない 「そうは言っても私もフェイルも魔法が使えん アーシャはどの様に訓練するのだ?」 ディアが立ち上がりながら聞く 「簡単じゃ 儂が直々に魔法を教えてやろう」 始祖自らが魔法を教える 聞いたことは無いが実際戦力的に見れば大幅に伸びそうである 「私回復魔法以外適性が無いから、そんなに 強くなれないと思うのですが……」 恐る恐る話すアーシャ スキルが回復魔法に特化しているから言っているのであろう 常識的に考えれば中級魔法が使えれば良い程度だと思う 「まずは魔力がどれぐらいあるかだな それ次第で変わってくるし 1発魔法を打って終わりというのは 戦況次第ではあるが、まず誤差程度で済む であろうからな」 なんかまともなこと言ってる 日頃の気ままに生きている雰囲気とは違い 真面目にアーシャを強くする気があるように感じる 「私の魔力は…………………………」 ?何をそんなに溜めるんだ? もしかしてそんなに魔力量が無いのか? 回復魔法と言えど魔力が必要には必要だが 魔力量で言えば他の5大元素に比べれば少ない量で済む 少ないと言っても回数が多いため結局のところ魔力量は必要なのだが…… 「えーと……4000です……」 は……? 4000……? 聞き間違えかと思ったがディアも、エリザベートも目を見開いている 人類が持っていて良い魔力量を遥かに超えている だが不思議だ、なぜそれ程の魔力がありながら 攻撃魔法を使わないんだ? 「済まないアーシャよ1つ聞いてもいいか?」 ディアが話しを割って入る 「なぜそれ程の魔力を持っていながら 今まで攻撃魔法を使わなかったのだ? 真面目な話それ程魔力があれば元素の名を 冠した魔法でも2〜3回は 行使できるであろう?」 元素の名を冠した魔法 魔法の中でも最上位に位置する魔法を最低でも2回は使えるということ つまり上位魔法であればもっと使えるということ 「いや、あの……えーと ……私の攻撃魔法スキルのせいで火力が 高すぎるんです だから、戦闘中に使うと味方も 巻き込んじゃうから使わなかったんですよね」 あははは と 困った顔で笑っているアーシャ 「スキルのせいでって アーシャのスキルは回復魔法だけでは ないのか?」 ディアに聞かれる 「?いや、私のスキル欄に回復魔法と ????のスキルありませんか?」 「いや、私の目には回復魔法の欄しか無いぞ?」 ディアとアーシャが同時に首を傾げる 「よし、それなら攻撃魔法の威力を見よう それ次第で戦闘に組み込めるもの 又は個人戦闘の時しか使えないものを 分けてそれぞれの練度をあげるとしよう ディアちゃんとフェイル君は組手をしてて ディアちゃんが攻撃を捌くのではなく ちゃんと攻撃すること 最悪致命傷になっても私かアーシャちゃんで 回復魔法かけるから大丈夫だからね〜」 と言いながらアーシャを担ぎ走り去って行った アーシャの魔法を見るのが楽しみなのだろう 「つまり私はお前をいつも以上にボコボコに して良いということだな?」 俺が立ち上がると同時にディアは魔力を解放し自身の体に纏わせる 白魔法のバフと迄はいかないが、魔力を体に纏わせてある程度のステータス上昇をしている 「いや、いつも半分死んでるみたいなもん だから勘弁してくれよ」 「半分で済んでいるのだから今日は 半分以上死んでもらう!」 言い切るのが早いか行動が早いか ディアの蹴りによって後ろにある岩に向かって一直線に飛んでいく俺 手で防ぎ直撃を免れたものの追撃が後を絶たない (死ぬのが早いかステータスの上昇が早いか) さて、どちらなんだろう と、思いながらディアに一撃食らわせるために俺も反撃にでるのであった
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