いつから、そこに居るのか

4/41
前へ
/41ページ
次へ
翌朝日が登り始めた頃アーシャと合流した 「おはよ〜」 おはよとか言いつつ半分寝てるアーシャ かく言う俺も眠いには眠い なんでこんなに朝早く王都を出るのか 人目につかない為というのがでかい 王都から出るのは自由だが他人に見られるのが面倒なのだ 俺がアーシャを連れて勇者の旅に出たなんて知れたら周りからなんて言われるか分からない 俺が連れていくと言った訳では無いが周りはそんなこと知らない 嫌われ者の俺と一緒に行動してアーシャにメリットは無い筈だ だから疑問なのだ勇者を探す旅に着いてくることが 自ら名乗り出る奴なんて聞いたことない 「おい、アーシャ今ならまだ引き返せるぞ 後で泣き言、言っても知らないからな」 「何言ってんの行くって言ったら、そもそも引き返せないんだからね?」 ·····呆れたそこまで知ってるんなら尚更行く選択肢なんて無いだろ 「アーシャ、なんで着いてくるなんて言った お前なら医療関係の職に就いて楽に 生きていけるだろ」 「フェイル1人て行くのが危ないって言った 筈だよ?」 それに····· 続きは言わない お人好しなのか、はたまた別の理由が有るのか 俯いている為アーシャの顔は見えない 「疲れたら言え、その都度休憩を取る」 「うん、ありがとね」 目指す場所はリベリアという街 なんでも『 エアフォルク』した奴がいるらしいからそいつを王都に連れてくる事が目的 王都に帰る道中戦闘をさせて使えるか使えないか判断要素を集めるのも仕事だ 「それにしても、エアフォルクする子供達 最近多いよね〜、良いな〜 」 「エアフォルクする為の条件がある程度 分かってるんだ、親の教育と世界情勢 を見れば割と普通じゃないか?」 「でもさ?魔王どうやって復活したんだろ 100年前魔王って勇者に倒されて塵に なったって聞いたんだけどな〜」 口調はいつも通りだが少し顔が曇ってる? 気がする 「塵かき集めたら復活しちゃったのかな〜?」 「そんなんで復活されたら勇者涙目になるぞ」 「それはそうなんだけどね?どう頑張っても 復活しないと思うんだよ私」 「でも現に復活してるだろ」 20年前魔王と名乗る魔族が街を襲い半日で壊滅させた 魔王と聞かなければこんなにも事を大きくしなくて済んだと言うのに 幸か不幸か壊滅された街はそこまで大きくなく 言い方は悪いが死んだ人間も少ない 街の持つ戦力では対抗出来なかったのは魔王が討伐され気が抜けて居たから·····という訳では無い 寧ろ逆である 辺境の街にも名のある騎士や聖職者、魔法使いが里帰りしている、無論この街にも里帰りしていた魔法使いが居た のだが 魔法が効かず市民を避難させるので手一杯 そこで他に交戦していた味方が全員やられた後 魔族が魔王と名乗ったらしい 高笑いをしながらその地を去った魔王が今どこに居るのかは誰も知らない 「待て」 前方に人影が有る幸いこちらに気づいていない それなら慎重に近ずき敵味方を判断し 敵なら殺すまでだ 1歩1歩近づくにつれ嫌な汗が出る (この雰囲気で人間なら逆に気味が悪いぞ) 「あーれー?おかしいな 人間は全部殺したはずだよ?」 喋り始めると同時に俺の目の前まできたそいつを俺は反射的に切った 筈だったのだがそいつはその場から動いていない (おい、今目の前に居たろ!) 喋る余裕なんて無い、まさか今の殺気だとでも言うのか? 殺気で幻覚まで·····死をより身近に感じる程濃い殺気なのか (クソ、ふざけんな旅に出て一発目に化け物と 戦うとかどんだけ不幸なんだよ) 「君〜なかなか見どころ有るね ん〜?あれ?あーそういう事? ふふふ、面白いね君」 (冷や汗が止まらない·····せめてアーシャだけでも) 振り返るがアーシャは腰を抜かしたのか 座り込んでる····· 「おい!アーシャ逃げろこのままだと2人 共死ぬぞ!」 「で、でもフェイルが·····」 「うるせぇ、さっさと行け」 「私は蚊帳の外かい?寂しいねぇ〜 混ぜて、くれよ!」 蹴られた、と思う 今のが素の打撃ならオーク等の棍棒がハエたたきレベルにまで落ちる、それほどの膂力だ 何本かの木を背中で折りながら一直線に進み 岩にぶつかることによりようやく止まった ガハっ 久しぶりである自分の血を見るのは····· (とりあえず·····アーシャとは距離が離れたな) 「なんだい?1発で終わりかい? つまらないね〜ほら頑張って〜ファイト〜」 (クソが、遊び半分なのかよ) 「あ〜どうしよっかな〜飽きてきた」 (せめて何か情報を) そう思い立ち上がるもフラフラである 王様からもらった剣を構えるが構えるのもやっとなざまである 「·····なんで君がそれを持ってるんだい? と言うより生きてたのか·········· ふむ…………………辞めだ 元々の目的である人間は殺した、用は済んだ それじゃぁ、バイバイだ人間 私はエゲル生きて会えたら今度こそ 楽しませてくれよ?」 不気味な笑顔と共に魔族は退散した (な…んと……か) そのまま倒れ込むと同時に意識が消えた その時に何か黒い、紫色のような人型のものを見たが気にしてる余裕は俺には無かった····· パチパチ という音で目が覚めた 勢いよく起き上がると全身が痛む 横にはアーシャが寝息をたてている 外は暗い 岩陰の中に焚き火を起こして俺の治療をしていたのだろう (エゲル…あいつはなんなんだいくら魔族とは いえ強すぎる) あれではもはや魔族の中でも上位の魔族だ 種族すら分からない 魔族は力が増すほど人間に肉体が近ずいていく あいつは身に纏う魔力やオーラこそ魔族のそれだったが 外見は人間と遜色無かった 「フェイル?フェイル! 良かったよ〜やっと起きたよ〜」 半泣きのアーシャ 寝起きでこの瞬発力こいつは元気そうでなによりである 「俺が蹴り飛ばされた後どうなったんだ?」 目を擦りながらアーシャは説明してくれた 「フェイルが飛んでった後急いで追いかけた の、そしたら血まみれのフェイルが倒れて て治癒魔法を使って治療したんだけど 損傷が激しいから、一旦岩陰まで運んで 治癒魔法をかけながらここで一時休憩してた って感じだよ」 「あれから何時間経ったんだ?」 首を横に振るアーシャ 「時間じゃなくて、2日寝てたよ」 ·····?2日? そんなに寝てたのか、まぁ瀕死から動くのに支障は無い程度には回復している 妥当と言えば妥当か 「それと·····」 「どうした?」 「フェイルが倒れてる時なんか黒い?紫色? の人影が見えたんだけどあれは誰なの? 女の人に見えたんだけど」 ··········? ! そうだ、倒れる時俺も確かに見た それはきっと····· 「アーシャ俺の剣有るか?」 「?あるよ?これでしょ?」 剣を受け取り鞘から刀身を露わにする 「おい、なんか居るんだろ?出てこいよ」 「あは」 剣から黒とも、紫とも言える色が滲み出る 「バレちゃったか〜 それにしてもエゲルも相変わらずだね〜 てか前より強くなってるしやれやれ」 滲み出たそれが次第に人型になる 俺はアーシャを背中に庇い剣を構える 「何はともあれ はじめまして、人間のオスとメス 私はディア見ての通り魔族だ」 魔族、しかも人間と遜色ないまた上位種か 「おいおい、そんなに敵意を向けるなって 間違えて殺しちゃうかもしれないだろ?」 「お前たちは敵意を向けなくても殺して 来るだろ」 「ははっ、言えてるね まぁそれしまいな?今の君だと武器なんて あっても無くても変わんないから」 ··········言われた通りに直す だが何時でも抜けるようにはしておく 「良いね!いい心がけだ強者の言うことは 聞いておいて損は無い、そして聞く振りを して刀身を何時でも抜けるようにしておく いい心構えだ… だが私は辞めろと言った次は無い それを床に置け」 背筋が凍るとはこういう事を言うのだろう 圧が違う生きてきてここまでの圧力を言葉だけで感じることが有るのだろうか 「ふぅ、これでやっと話せるね 改めて私はディア はじめまして、人間のオスとメス」 先程までの圧力は消えにっこりと笑うディアという魔族 勇者を探す旅に出て一発目から上位種との戦闘 次は剣から出てきた上位種 ······だから嫌だったんだ勇者を探す旅に出るのは
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加