いつから、そこに居るのか

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アーシャから見ればディアは格上も格上 しかも戦闘スタイル的に近接戦闘の為勝ち目がほぼないと言っても過言では無かった 幾分か落ち着いた頭で現在エリザベートの結界の中に居ることは分かっていた (このままだと、勝てない…… それなら、いっその事……) ここら一帯を吹き飛ばしディアに致命傷を与えようと考えた その為には少しばかり詠唱をする時間が必要だ (ディアさんに対して距離を取るには……) 今更ではあるがディアは強い 魔法使いだから幾らか勝率が悪いのも分かるが それでも私はその辺の近接戦闘者には負けないと思っている 近づけさせなければ良いのだ そして、魔力量的にも私の方が有利なのだから ゆっくり相手のスタミナ、体力、精神を削っていけば、ほぼほぼ勝ち目が有ると思っている だが、ディアは違う 距離を取ろうとしても必ず詰めてくる 魔法を当てようとしても必ず躱される 距離を詰めることを辞めない これでは魔力が無くなり先に負けるのはアーシャである (少し広範囲の魔法を使う) ディアの動きを止める必要が有る 今の戦闘はただの八つ当たりに近い フェイルが死にそうになったこと そして、その戦闘を良しとするディアを許してはいけないと思っている 「デス・フレア!」 広範囲に黒い炎を発生させる 触れた者に消えることの無い炎を纏わせる魔法 これで多少は時間ができるはず 「今のうちに」 アーシャは自身の周りに炎を展開させ、ディアが近づく事が出来ない様にした この時間を無駄には出来ない 「緑よ 大地を震わせ、天の威厳を示せ 暴風の威厳を示せ! 雷が舞い踊る天で我も踊らん! ライトニング・演舞」 瞬く間に雷雲が発生し天から雷がディアに向かって降り注ぐ 天を背にしながら雷をディアに向けて打っているアーシャはまるで舞を踊っているようにも見えた 対するディアは走り続けて雷の直撃を免れている 直撃していないものの雷が地面に接触した時に少しばかりだが足に雷が流れ続けている為直撃を避け続けるのも時間の問題だろう (やれやれ、困ったものだな) 少し離れた場所で直撃しそうになる雷に対して反魔法を展開しながら戦闘を見守るエリザベート 五大元素を冠する魔法を使用した時点でほぼアーシャの勝ちが確定したと言っても過言では無い だが…… (これ、絶対完璧に制御できていないよね…) アーシャはディアに対して雷を落としているが 落としていないであろうエリザベートにまで被害が出そうになっている 最も反魔法を展開し続ける限り直撃することは無い、仮に直撃したとしても全身再生するからあまり意味は無いのだが 威力・速さ共に十分ではあるだろう この際ディアちゃんに直撃してないのは相手が悪かったという事にしたいがそれも時間の問題 この魔法を維持できるのならアーシャの勝ちはほぼ確実であろう ただ、制御出来ていない ここが問題なのである このままいけば勝てる、勝ったことに満足されては困るのだ この魔法を使えば戦況が覆せると思わせてはならない 味方への被害が考えられていない魔法など使わない方がましである (さて……どうしようか) 考えるが結論は1つしか出てこない アーシャを止めること アーシャの魔力量的にまだこの魔法は使える ディアちゃんを仕留めるまでは魔法を打ち続けるだろう 今止めるか、直撃する直前で止めるか (うーん……悩む) なんなら、私が直撃受けるか? うーん…… と悩みながらディアちゃんをチラッと見たら 目が合った ? (あの顔は何もするなってことか?) 別に何もしないのは構わない だが…アーシャに慢心されても困る ディアが初動から本気を出していれば終わっていた戦闘を自分の勝ちだと思われても困る ……なんか、腹たってきたな あれこれ考えてるうちに なんで私がこんなに頭を悩ませる必要があるのか? と思ってしまった さっさとこの喧嘩を終わらせて、私なりに話しをしよう… 年寄り臭いことは言いたくないが もう、めんどくさい そう思い立ち上がる 服に着いたであろう土埃を払い 上空を見る アーシャが舞い踊り、ディアは走り続けている ため息を1つ付き 天に向かって掌を上げる その時のエリザベートの顔は不敵に笑い、これから自分がねじ伏せる相手達の無力さを分からせられる事に少しばかりだが気分が高揚していた
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