いつから、そこに居るのか

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エリザベートが行ったことは至って単純 アーシャが作った雷の雲に向かって 掌に圧縮に圧縮を重ねた風の球を作り空に放つ ただそれだけの事 雲の中に入った途端その球が弾けて、雲を消し飛ばす シンプルが故に力の差がはっきり分かると思う 「なっ」 アーシャが空を見ると先程まで合った雲が無くなっている こんなことが出来るのはこの場にエリザベートしか居ない エリザベートの方を見ると天に向かって手を挙げたままこちらを見ている 目が合う 「っ……!」 エリザベートの顔は狂気の笑みに満ちていた ゆっくりと手を下ろすエリザベートを見ながら動こうにも体が強ばって動けない 次の瞬間にはエリザベートが立っていた場所の地面が抉れて砂煙と岩が宙に浮いていた それを目視で捉えた瞬間には狂気の笑みを浮かべたエリザベートがアーシャの前に現れて腹に1発拳が入っていた それを認識出来たのは殴られた後背中に岩がぶつかった後 軽く血を吐き意識をそのまま失う瞬間だった そのやり取りを足を止めて見ていたディアは冷や汗をかいていた 正直なところアーシャの攻撃は防ごうと思えば恐らく防げた だが、やっぱりエリザベートは無理だ あんなに自身のステータスを振り回しながら戦ってる奴に正面から殴りあったら恐らく私は肉片になるであろう ……しかも、今この瞬間を楽しんでいる 自身の力に酔ってるに近いと思う エリザベートから見たら私たちなんて取るに足らない相手だ、それを弄び楽しんでいる ?いや、待て なぜエリザベートが今この戦闘に割って入ったのだ? これは私と、アーシャの問題 考えても答えが出ないが、物思いにふけっている時間も無さそうだ エリザベートがこちらに突進してきた 地面を一蹴りしてアーシャの元から私の元へ飛んでくる 距離はかなり空いていた アーシャの落雷から逃げるのに必死で間合いが開いていたことがラッキーではあるのだが (この距離を一蹴りとは……やれやれ) 私がこの間合いを詰めようとすれば4回は地面に足が着くであろう そう、エリザベートと私にはそれだけの差があると言うこと とりあえず更に距離を取ろうと思い、私はバックステップしたが 「遅いな〜!ディア!」 バックステップした距離すらも詰められ顔に向かって拳が飛んでくる 腕を交差させて受け止めるが、重すぎて受け止めきれず後ろに吹き飛ばされる 「チッ」 左手が折れた 飛ばされながらどうにかならないかと思案するが 「だから〜、遅いんだって!」 飛ばされたと同時に間合いを詰めてきたエリザベートのかかと落としが当たりそうになり、次は右手で受け止めた こっちは折れたなんてものじゃない 骨が皮膚から突き破って出てきていた 「この、バケモノが…」 何とか足は動くが今までのようなスピードは出せないだろう まぁ……出しても追いつかれるのだが 「エリザベート、なぜ邪魔をした」 「邪魔?何言ってんの? 遅いから早く終わらせてんあげたんじゃん」 「それを邪魔と言うのだ!」 何とか一撃入れようと蹴りを放つが ほくそ笑んでいるエリザベートは動かない 蹴りが当たるが 「あはっ」 顔をしかめる私に対してエリザベートは笑っている 蹴りがまともに入っているのにエリザベートはビクともしなかった 「魔法特化の私なら一撃入れたら戦況が変わる とでも、思った? 残念だったね〜! 自分の弱点分かってるから鍛えてるに 決まってるだろうが!」 お返しに蹴りを貰う 肋骨が数本折れたと思う 「ゴボッ」 口から血を吐き前を向く エリザベートは近くに居て私を見下ろしている その顔は先程までの楽しくて仕方ないという顔ではなく 敵に対して情をかけるつもりは無いと 氷のように冷えきった目で私を見ている 「寝てろ」 そう言われもう1発腹に蹴りを入れられた つなぎ止めていた意識を手から無理やり落とされるような形で私は意識を失った 「ふぅ〜〜やれやれだね」 と、背伸びをしながら晴れやかに笑っているエリザベート 返事をするものは居らず、静かな時が流れる 「あ、やばいやばい」 と言い先程アーシャを殴った位置まで戻り アーシャを手当する ほぼ、八つ当たりだった為アーシャにはそれなりに加減はしたが 今まで近接戦闘をやってこなかったのだろう 少々体が貧弱である 「よし、こんなもんかな」 アーシャには腹に1発入れただけだから 割と治療は簡単であった 「問題は〜……」 そう、ディアである 昔に比べて格段に強くなっているし、判断もそこまで悪くなかったから、つい楽しくなってやり過ぎた 「う〜ん、とりあえず 骨くっつけて、内蔵直しとくか」 そう言ってエリザベートはディアの治療を始めるのだった ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「力が欲しいか?」 またこの夢だ… 最近やたらと夢を見る 男か女かも分からないやつから質問される 力が欲しいか?…と 「そこで寝込んでいるのなら、お前は弱かった ということであろう? 特別に私が力をあげると言っているのだ 喜んで受け取ればよかろう?」 口調的には女っぽい だが、声にノイズが走っていて はっきりとは性別が分からない 「なんだ、今回もだんまりか… だが、私には分かるぞ 近い将来絶対にお前は私に力を求めてくる ククククッ…楽しみにしているぞ」 そう言われて開放されたのか全身の力が抜けていくのが分かる あの状態がなんなのか 敵なのか味方なのか全く分からない だが……あいつから力を貰えばろくなことにはならないと思う そんな事を考えながら気がついたら寝てしまっていた
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