いつから、そこに居るのか

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ある日目が覚めて 「お前は勇者だ!」 なんて言われる。 そんなことを夢に見ている時期だって誰にでもある。 もちろん俺にも合った…… 物語に出てくる魔王を倒し、祖国の姫を救い姫と結ばれるハッピーエンド。 逆に魔王を倒せず、姫を失い、祖国からも捨てられ、仲間からも嘲笑われる、そんな物語だって昔読んだのかもしれない。 (この場合本当に勇者だったのかって話は置いておこう) でも…それでも…… いいじゃないか… お前は一瞬だったとはいえ輝けたのだ 誰かに必要とされる、目的のある日々、達成した時の充実感それらを味わえたんだろ? なら良いじゃないか…… 別に勇者になりたい訳ではない 特別な人と結ばれたい訳でもない 誰かに必要とされ、目的を持ち日々を過ごせればどんなに楽しいだろうか、充実するだろうか! 人間誰しもがその様な人生を送れると昔は思ってた だが実際は違った、そう違ったんだよ…… 何をしてもただの二流以下、一流になるための素質なんて何一つ持っちゃあいない。 努力を怠ったんじゃないか? って? ……それは無い… とは言いきれ無いかもしれない 手が届きそうな瞬間は稀にあったにはあった だが手が届く寸前でいつも誰かに先を越される 必ずだ…… 必ず誰かに先を越される そんな歳月を幼少期から10年繰り返し、もう諦めた、俺には無理だったんだ 何かの歯車になり一生を終える そんなつまらない奴に俺はなっちまった これは、そんなどうしようもない俺が魔王を討伐するパーティに加わり勇者と呼ばれる人物を探す物語である……… 「朝…か」 目が覚めた、行きたくもない学校に行く支度をする為に少しばかり早く起きる面倒な事だ 幸い目覚まし無しで起きれるのは嬉しい 誰かに睡眠を邪魔され、目が覚めた時にはその一日がクソみてぇに怠くなる。 「おはよう」 と声に出すが誰も居ない それもそうだここは学校の寮だ 1人に1部屋割り振られそこで3年間学生生活を送り、卒業後は皆何かしらの職に就く 能力のあるやつは良い所に務め裕福に暮らすのだろう 俺にはそんな資格ないんだがな 支度を済ませ学校に向かう 今日の一限〜二限目は剣術の訓練 三限〜四限目は魔力の運用訓練 五限〜六限目は実践訓練 今日の勉学の内容…とは言ってもこれが毎日である 才能のない人間は基礎から練り上げるしかない 「はっ、やっても変わんねぇのまだ分かんねぇのかよ」 そう、変わらないのである この世界では産まれた時点で何らかのスキルを有している者が大半である。 大小、数に差はあれどスキルを持って産まれて来て、中には訓練を重ねるとそのスキルが研ぎ澄まされより上位のスキルもしくは全く別のスキルになることが有る。 これを人は 『 エアフォルク』 と呼んでいる ただし、上位のスキルを皆が会得する訳では無い 先程も言ったが『 研ぎ澄ます』と言うことは 『 研ぎ澄ませれる』物では無いといけないのだ 簡単な話 『 剣術』 と言うスキルを持っていたら 存在する上位スキルとして 剣聖、剣鬼、剣姫…などと言った上位スキルが有るが 逆に 『 疲れない』 と言うようなスキルがあったとした場合 疲れないものをどのように『 研ぎ澄ます』 のかが問題なのである 『 研ぎ澄ます』 と言うことは、ざっくり言えば研鑽を積むことで有る 研鑽を積む過程で疲れないとはどういうことなのか? そう、やってても上達する見通しが中々見えないのである 疲れないからなんでも出来るが 疲れる奴に比べたら一手一手の技術的差が開きすぎ数手で詰むのである 要は『 研ぎ澄ませた』先に何が有るのかが大事なのである そしてこのクソみたいな基礎ばかりやらされてる連中は…(まぁ俺含めて)…スキルの先に何も見いだせなかった者達の集まりである でも、不思議じゃないか? それならなんで全員が『 エアフォルク』せずに未だに基礎を磨いている連中が居るのか もし仮に『 エアフォルク』することに時間の制限が無かった場合人類全員が死ぬまでに上位のスキルを会得する事になるよな? つまり先を見いだせなかったという事が決定事項である様に話すことが間違いである そこでだ 話は戻るが 『 エアフォルク』 した人間の平均年齢は12歳 遅くても14歳迄には『 エアフォルク』する そして14歳迄に大体のステータスが決まる 大体ってのは窮地に立たされたり、死と生の狭間を体験したりした者は偶にステータスが上昇することが有る で、この学校に通ってる者の年齢は1番低くて 15歳 そう、『 エアフォルク』出来る年齢をとっくに過ぎているのである なら、なぜ未だに基礎を学んでいるか その話は話せば長くなる今日の一日が終わったら話そう……話す気力が有ればな
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