特別な存在でなくても、自分の力でチート能力を身につける!

5/18

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
…ここは? 霧がかかっていて遠くがよく見えないな。 何かの小屋が近くにあるみたいだがそれ以外はなさそうだ。 取り敢えず小屋に行ってみるか。 「誰じゃ、そこにいるのは」 「!?」 いつの間にか、老人が立っていた。 驚いた。全然分からなかった。 名前を聞かれた、ということで合ってるな? 「俺は冥界の…。いや、佐藤彰宏(さとう あきひろ)だ…です」 「ほう、なるほど。サトウか」 「ワシのことは…ホウソと呼べ」 あ、ちゃんと返してくれる人だった。 「とにかく、ここはわしの縄張りじゃ。そこに侵入するとは、覚悟できているんじゃろうな。」 まずい、早く逃げなければ…って、そうだ忘れていた!俺は今度こそ特殊な能力を持っているに違いない!なぜなら転生したから!「転生をしたら何かしらのチート能力がある」というのが暗黙の了解みたいなのだから! 「!…もちろん。俺はすごく強い…はずだから、かかってこい!」 「ほう?」 チート能力があるであろう俺が、さすがにこんな老人に負けるわけが… ドサッ 「どの口がそれを言ってるんじゃ」 …えっ。俺とホウソは少し離れていたはずなのに一瞬で負けた、だと? 謎の既視感。そうだ、あの2人に倒されたときもこんな風に呆気なかった。この世界では、これが普通なのか…? いやちょっと待て!チート能力は!?転生者にはチート能力が備わっているはずだろう! …ん?これは感じる!さっき話した、神の気配だ!能力を教えてくれるのか!? 『その年齢のまま飛ばしてあげたので十分でしょ?あとは自分のやりたいようにやりな』 …っておい! (もしかして…) 『チート能力?面倒だからつけてないよ。じゃ、さよなら』 (は!?) 気配が消えた…。 「おい!聞いとるのか!」 「…はっ!急に何だ?…ですか?」 「全く急じゃなかったわい。さっきからずっと声をかけていたのに気づかんとは、どういう耳と神経をしているんじゃ」 「ワシは優しいからな。超絶弱いお前を1人でも生きていけるよう、弟子にしてやろう。暇つぶしにはなるじゃろ。つまらんかったら破門じゃがな。感謝しろ!」 えっと、よく分からないが、俺は強制的にホウソの弟子になったようだ。 この世界は治安が最悪らしいが、その世界で殺されない、しかも、転生してすぐに俺を世話してくれる人に出会えたということは、さっき言われた通り飛ばす先は考えてくれていたようだ。 俺は、前の世界では何の能力もない普通の人間だった。だがこの世界に来たからには、神からチート能力など用意されなくても自分で身につけることを決意した。 濃かった霧は、いつの間にか晴れていた。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加