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「芥田さんは普段仕事で,家をあけるのですよね?日中は七海さんはどうされているのですか?」
「ああ、普段は私の両親と,過ごしています。今は私用で2人とも出ていますがソロソロ2人とも…」
そう言った時玄関のドアがガラガラと空いて2人の初老の男性と女性が入ってきた。
「誠司、その方々は?」
「父さん、この人達は七海を探してくれることになった人達なんだよ。これできっと七海も…」
それを聞くと父さんと呼ばれた人の表情がこわばる。
「いなくなった者を探す必要はない!今すぐ帰ってもらえ」
「でも!七海がみつかるかもしれないんだよ!」
「うるさい!お前は何もわかってない!だから…」
お父さんと呼ばれた人は私たちに頭を下げ言った。
「どうかこの愚息が言ったことは忘れてください。そして今後2度と関わらないで下さい」
そういうとさっさと屋敷の奥に奥さんを連れて去ってしまった。奥さんはハンカチで涙を拭っていたのがみえた。
「すみません、父さんが…刺激したくないので今日はお引き取りいただいてもよろしいでしょうか。またご連絡します」
するとナナシは一枚の札を取り出すと男性に手渡した。
「何か連絡がありましたらこれにしたためて風に乗せてください。そうすれば私の元に届きますから」
彼は私たちが屋敷を去ると見えなくなるまで頭を下げて、泣いていた。
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