1章 お菓子な悩み事

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「明日香店長、本日も契約取れましたね!」  駐車場に向かいながら朱里が、嬉しそうな声を上げる。 「うん、でもいつも、自分の売り込みの場面になるとぎこちなくなっちゃうんだよなぁ」 「笑いをとれて、良かったじゃないですか!」 「ぜんぜん、慰めになってない(笑)」  左手には古い木立のエリアが見える。この場所を守ることにちょっとでも力になれたのなら、お手伝いして良かったと思えるなぁと明日香は考える。  視線を横に向けると、いつもサポートしてくれるかわいい後輩の姿が目に入る。朱里ちゃんにも幸せな仕事生活を送ってもらえていたならいいんだけど。 「朱里ちゃん。ときじく薬草珈琲店の、問題解決のための三箇条!」 「はい!その一!相手をきちんと知る!」 「OK!ではその二!」 「自分を見つめ直す!」 「その三!」 「第三の道を見つける!」 「うん。もう完璧だねぇ」 「はい。もう、何回も現場を見ているので。・・・重森工場長の気持ちをしっかり理解し、その上で米田社長ご自身がやりたいことを見つめ直し、辞める辞めないではない第三の解決策を見つけたってことですよね」 「そうそう」 「でも、今回も、裏の三箇条を使わなくて良かったですね」 「うん、みんな良い人ばかりだったからね」  カフェに戻り、少しだけ仕事をした後に帰宅。帰宅直後に、米田社長の奥さんから感謝の電話が届いた。また、自宅でも薬草珈琲 安神ブレンドを飲みたいということだった。これからは、夫にもっと優しく接しようと思ったということらしい。
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